「今日のオフロ#東京編」第十二話。アパートの目の前にある銭湯のお話
私は、銭湯がすぐそこにあるアパートで暮らしています。
この日は土曜日で、夕方から頼まれていた絵の仕事に取り掛かるため、いつもより早めに銭湯へ向かっていました。体を洗い、湯船に浸かったところ、
「ちょっとそこのアナタ!!」
と大きな声で後ろから呼ばれました。
振り向くとそこには長い白髪を頭のてっぺんで結わえている、痩せたおばあさんがいて、私を見つめています。
ちょうど、私が入浴しているお風呂の目の前にはテレビがあり、私がここにいると邪魔だと思ってるのかな。と咄嗟に思いました。
「どきなさい」などと言われて、怒られるだろうと覚悟していたら、
「そこに浸かってないで、こっちのジェットバスの方がずっと気持ちいいんだから、こっち入りなよ!」と
ついさっきまで自分が入っていたジェットバスの位置を私に譲ってくれました。
この銭湯は暮らしているアパートの目の前にあるため、私は毎日のようにそこのジェットバスに浸かっていましたが、笑顔で譲ってくれているおばあさんを前に断るわけにはいかず、お礼を言いつつそこに移動しました。怒られるかと疑っていた自分が、少し恥ずかしくなりました。
銭湯へ通ったばかりだった大学生の頃、「おじいさんやおばあさんに、煙たがられるかも、怒られるかも」とおどおどしながら入浴していた記憶があります。実際はそんなことなく、このように親切に接していただくことが多いです。
今後も銭湯のマナーを守り、あんまりおどおどせずに人と接しようと感じた一日でした。
4コマ漫画「今日のオフロ#東京編」とは?
銭湯の目の前で暮らす、「東京銭湯 – TOKYO SENTO -」ライター・のんたん。彼女の目から見た、ちょっとゆるくて、ちょっと優しい東京都内の銭湯での日常を、4コマ漫画でお届けします。※4コマの内容は基本すべて、ノンフィクションです。
銭湯4コマ漫画家(のんたん)
・風呂つきアパートの目の前に銭湯があり、ほぼ銭湯に通っている女です。
・銭湯で起こったことを、抑揚のない4コマで展開しています。
・絵筆を持つと全く異なる作風を発揮します。(詳細はinstagramで)
・音楽と散歩、種田山頭火が好きです。
・銭湯に特別なこだわりはありませんが、銭湯で過ごす平和な時間が一日でも長く続けばいいと思っています。
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