日々銭湯に通う人々は、どんな理由で、どんな想いで、銭湯に行くのだろう? 銭湯の魅力って、なんだろう? その答えはきっと、ひとつじゃない。きっとそこには、その人ならではの楽しみ方や、理由がある。 “Humans of 入浴” は、銭湯の千差万別な楽しみ方に焦点をあて、銭湯通いの極意をいろんな人たちにインタビューすることで、その魅力を掘り下げてみよう!という、TOKYO SENTOの連載企画です。
Vol.10:SHINSUKE KATO at 月見湯
連載企画“Humans of 入浴”、今回は記念すべき第10回目。ご登場いただくのは、カトウシンスケさん、36歳、俳優。
銭湯をこよなく愛するカトウさんのお気に入り銭湯は、『月見湯』。世田谷区、下高井戸駅から徒歩6分ほどの閑静な住宅街に位置する銭湯です。
カトウさんに『月見湯』のお気に入りポイントを伺ったところ、「どこから挙げればいいか分からないくらい、とにかく総合点が高い」とのこと。
あえて挙げるならば、広々としたフロント、天井が高く清潔な脱衣場に心地良い縁側。そして東京の銭湯では珍しい浴槽の配置がお気に入り。
浴場の中心に浴槽がある作りは関西の銭湯に多いのだそうです。また温冷浴好きのカトウさんにとっては、テレビ付きサウナと温泉の水風呂も重要なポイントなんだとか。
1: 夜は光る”ゆ”マークが『月見湯』の目印 2: 最近下足入れが新しくなったのだそう! 3: 広々としたロビーではアイスの販売もあり 4: カトウさんの身軽な銭湯グッズ。薄手のタオル、ミニボトルのシャンプー&リンス、オロナイン軟膏
♨ カトウさんの銭湯極意 ♨
Q:よく行く銭湯は?
月見湯(下高井戸)、大黒湯(代々木上原)。
他にも好きな銭湯はたくさんあるけど、『月見湯』と『大黒湯』は特によく行くし大好きな二つ。それぞれの良さと楽しい発見がある。まだまだ行ったことのない銭湯もあるので、もっといろいろなところに行きたいと思ってます。
Q:銭湯に行く時間は?
まちまち。暇な時は贅沢気分を味わうために夕暮れ時から入りにいき、夜からの時間に向けてリフレッシュします。
2~3時間散歩して、途中に銭湯を挟むこともあります。足が疲れるほど歩いて銭湯に行く、というか、銭湯に行くために歩く(笑)。その後においしいビールも待ってますからね。至福の休日です。忙しい時は22時以降に行くこともあるので、25時過ぎまでやってくれている近所の銭湯は重宝してます。
Q:お風呂あがりに飲むなら?
基本は、水。最近は炭酸水を飲むことも。オフの時は、たまにビール。
Q:銭湯に持って行くものを教えてください。
わりと手ぶらでも行っちゃうけど、手ぬぐいタオルは持っていくかな。シャンプー類は備え付けがなかったら、銭湯でちっちゃいやつを買っちゃいます。
あとは、タオルが濡れたままでもカバンに突っ込めるように、防水の小物入れを使ってます。中でシャンプーとかがこぼれちゃっても洗えるし、カバンの中に漏れないから安心で便利!
Q:「私だけのこだわり入浴術」はありますか?
温冷浴が基本かなぁ。なるべくのんびりとした時間を過ごしたいなと思ってます。体と心が軽くなるまで温と冷を繰り返す感じですね。
水風呂があるとうれしいけど、ない場合は代わりに水シャワーを浴びてしばらく座ってます。自分のペースは守りつつも、「これが自分流!」というよりは、周りの雰囲気や環境に合わせつつ過ごすのが心地良いです。気持ちのいい縁側のある銭湯なら縁側で過ごす時間が増えるし、熱湯過ぎて浸かるのがきつい銭湯では闘うように浸かる(笑)。各銭湯での自分の過ごし方を見つけられるといいですよね。
Q:銭湯とあなたの出会いは?
出会い……。わからないなぁ。いつだろう? ただ、劇団仲間に銭湯好きな奴がいたり、高校の友だちと年越しキャンプした帰りにスーパー銭湯や温泉に行ったりしていたので、昔からお湯は好きでしたね。
湯船に浸かりたい派なのに、家だと烏の行水で長く浸かっていられないんですよ。ジッとしているのが苦手で。なので、じっくり浸かって疲れを取るために銭湯に行くようになったのもありますかね。なんかお湯がイキイキしてるし、大きな湯船に浸かると疲れの取れ方が違いますもんね。
でも、そもそもは「せっかくお金払ってるのにすぐ上がっちゃったらもったいない!」という貧乏心から、水風呂に浸かるようになって、気が付いたら「温冷浴」と呼ばれる入り方をしていたって感じなんです。最初は健康の為とか考えちゃいなかった(笑)。
Q:あなたと銭湯にまつわるお話を聞かせてください。
銭湯にまつわる良い縁が続いてるんですよね。周りに銭湯好きな人が多いし、僕の代表作となった映画『ケンとカズ』でも銭湯のシーンがあったし。最新の主演映画『どうしようもない恋の唄』でも、今は閉業されちゃいましたが某人気銭湯が出てきます。主演をやると銭湯がついてくるんですよね!
あ、 『どうしようもない恋の唄』は2018年8月4日から公開です! ぜひ、どの銭湯が出てくるかチェックして下さいね! 宣伝でした(笑)。
Q:あなたにとってズバリ、銭湯の魅力とは?
浴場に響くさまざまな音や人の声を聞きながら、一人の時は温冷浴を重ねてる間にどんどん空っぽになっていく感覚がたまらないですね。湯船に体をゆだねて、頭や体の中の雑音が小さくなっていく感じ。なにも考えないでいられる数少ない時間を過ごせます。そこが魅力ですかね。
あとは、「他人といるけど一人でいる」って感じが良いですね。映画館の暗闇もそうですけど、世界と断絶して一人きりになるわけじゃないんですよね。なんか肌感覚な場所というか、まあ裸だし(笑)。 そういうところは演技と近いものがあって、大事にしたいと思う感覚です。
銭湯で会う人って挨拶するだけの関係だったりもするけど、まったく知らない人ではなかったり、いろいろな距離感が生まれておもしろいです。他にはなかなかない場だと感じます。
でも、友だちとあーだこーだ喋りながら入るのも好きですよ。サウナはそっちのほうが長く楽しんでいられる。飲み会も好きですけど、銭湯に集まって喋って帰るだけでも全然満足できますね。楽しいし、ヘルシー。リラックスついでに日々の愚痴も吐き出してリフレッシュします(笑)。
時間に余裕がある時は、行きたい銭湯の目星をつけて、付近を散歩してから銭湯に入り、湯あがりは散歩で見つけた良さげなお店で飲んだりします。生活に根付いた所にこそ銭湯は多いし、思いがけない出会いを与えてくれる。銭湯にはそういう店や人を引き寄せる“引力”があるし、だからこそ銭湯の周りを探索するのは楽しいです。「銭湯がある街」ってだけで、魅力がありますよね。
銭湯も単館系映画館も全国的にはどんどん減ってきてるし、斜陽産業なんていわれる事も多いけど、都市部では逆に局地的に盛り上がりも見せている。やっぱりおもしろい空間だと思います。今後も新たな価値が見出されていくだろうし、新たな形へと変貌を遂げようとしている。そういうものがあるからやっぱりおもしろいですよ、世界は。
「みんな同じ」という楽しさや安心もあるのだろうけど、同じだけじゃつまらないですもんね、何事も。日々の違い、地域の違い、味の違い、お湯の違い、違うことが楽しい。遺伝子だって多様性がないとっていうし……あ、話逸れますね、あ、もうだいぶ逸れてる? えーっと、もっといろんな銭湯に行きたいです! どこかおススメありますか(笑)?
第10回“Humans of 入浴” 、いかがでしたか? 「銭湯好きの俳優さん」とは伺っていたものの、実際にお会いしたカトウさんは、想像の何十倍も銭湯を愛している方でした。銭湯トークだけで日が暮れてしまうほど盛り上がり、楽しいインタビューとなりました。まだまだ話したりない様子のカトウさん、続きはまた銭湯で聞かせてくださいね!
次回の “Humans of 入浴” もどうぞお楽しみに!
カトウシンスケさん インタビュー中の作品詳細と今後の予定
■主演最新作 「どうしようもない恋の唄」
8/4シネマート新宿、シネマート心斎橋にてレイトショー公開!
公式サイト
http://klockworx-v.com/koinouta/
■主演映画「ケンとカズ」
Blu-ray&DVDレンタル・発売中!
予告編
https://m.youtube.com/watch?v=6myTSKfZYxg/
■Amazonプライム オリジナルドラマ「紺田照の合法レシピ」全話配信中!
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07B2P1FKF
■劇団オーストラ・マコンドー「ありがたみをわかりながら死ね」出演
8/23〜9/2 @下北沢 小劇場 楽園
http://austramacondotv.wixsite.com/austra/blank-6
“Humans of 入浴” は、銭湯の千差万別な楽しみ方に焦点をあて、銭湯通いの極意をいろんな人にインタビューすることで、その魅力を掘り下げてみよう!という、TOKYO SENTOの連載企画です。