日々銭湯に通う人々は、どんな理由で、どんな想いで、銭湯に行くのだろう?銭湯の魅力って、なんだろう?その答えはきっと、ひとつじゃない。きっとそこには、その人ならではの楽しみ方や、理由がある。 “Humans of 入浴” は、銭湯の千差万別な楽しみ方に焦点をあて、銭湯通いの極意をいろんな人たちにインタビューすることで、その魅力を掘り下げてみよう!という、TOKYO SENTOの連載企画です。
Vol.3:HONAMI ENYA at 蛇骨湯
連載第3回目にご登場頂くのは、建築関係のお仕事をされている塩谷歩波さん、26歳。健康志向の彼女がお気に入りのランニングコースとともに紹介してくれたのは、浅草を代表する銭湯、「蛇骨湯」さん。その創業は古く、江戸時代まで遡ります。黒湯と半露天が嬉しい下町のお湯屋さんです。
TOKYO SENTO でも度々ご紹介してきた「蛇骨湯」の入口暖簾。観光地という土地柄、外国の方の利用も多く、4カ国語表記の券売機 (!) など、随所に浅草の銭湯らしい心遣いが見られます。
歩波さんの場合、特に蛇骨湯の近くに住んでいるというわけではなく、健康のためにはじめたランニングと温冷浴に最適な銭湯として、いつも蛇骨湯まで通っているんだそうな。「いつか銭湯ランニングMAPを作りたいですね。『このランニングコースにはこの銭湯』っていう順番じゃなくて、『この銭湯のまわりだったらここらへん走ったらいいんじゃない?』っていうMAPを。(笑) あくまでも銭湯ありきのプランで。」そう笑って話す彼女。取材の日もランニングウェアで颯爽と現れて、隅田川沿いをひとっ走りしてからの入浴、そのあとビール!という最高のプランを提案してくれました。う〜む、銭湯の楽しみ方、千差万別!
1: 入浴前のガールズランナー。 2: 東京のいろんなところを走ってきましたが、やっぱり隅田川沿いが一番好き!という歩波さん。 3: ランニング後はすぐさま蛇骨湯へ。 4: 歩波さんの銭湯セット。タオルのイラストはご自身が制作されたもの。 5: 蛇骨湯の後によく行く浅草のホッピー通り。 6: 温冷浴後のビールに勝るものなし。
♨ 歩波さんの銭湯極意 ♨
Q:よく行く銭湯は?
小杉湯 (高円寺駅)、清水湯 (武蔵小山駅)
Q:銭湯に行く時間は?
開店直後か夕方過ぎ。1時間〜1時間半程滞在します。
Q:お風呂上りに飲むなら?
生ビール!
Q:銭湯に持って行くものを教えてください。
バスタオル、フェイスタオル、ナイロンタオル、シャンプー、リンス、ボディーソープ、クレンジング、洗顔料、ボディクリーム等。ランニング中はプロテインと豆乳を持っていきます。
Q:「私だけのこだわり入浴術」はありますか?
お湯と水風呂に交互に入る温冷浴にはまっています。仕事でストレスが溜まっている時に温冷浴を試してみたら心も体もスーッと軽くなって。それから水風呂がある銭湯では必ず温冷浴を実践しています!色々な温度の湯船で試してきましたが、私の場合、この順番で入ると一番疲れが取れます。
- 44℃程度の熱湯
↓ - 16℃前後の水風呂
↓ - 38〜40℃程度のぬる湯
熱湯と水風呂は各1分ずつ、ぬる湯は3分ぐらいゆっくり入ってから少し休憩しています。水風呂でキンキンに冷やされた体がぬる湯でじんわりと温められる瞬間は、足先がジンジンするまで冷えきった身体で湯船に浸かる時のように、身体の真ん中からじんわ〜と温まって、指先から頭の後ろまでピリピリ痺れる感覚があります。この感覚が病み付きなんですよね。(笑) ストレス解消だけでなくランニング後のアイシング効果もあり、温冷浴は重宝しています。
Q:銭湯とあなたの出会いは?
大学3年生の時に大学に泊まり込んで課題を進めていた時に、初めて銭湯を利用しました。女の子数人で行って、湯船に浸かりながら課題の愚痴を言い合い、お風呂上がりにお化粧品を貸し借りするのがとても楽しかったんです。大学周りに銭湯が沢山あったので、銭湯と大学時代の思い出は切っても切れない関係です。
Q:あなたと銭湯にまつわるお話を聞かせてください。
蛇骨湯で海外の方とお話した事が印象深いです。その方はサンフランシスコから新婚旅行で日本にいらしたそうで、蛇骨湯のために浅草に立ち寄ったそうです。蛇骨湯の水風呂は13℃と相当冷えていて「これはプールじゃないの?」と驚いていたのがとても可愛らしかった。同じ時間に男湯に入っていた旦那さんは電気風呂で「What’s!?」となっていたそうで、確かに水風呂や電気風呂は未知の文化だよなあ・・・とそのご夫婦と笑い合いました。異なった年代の方とだけでなく、海外の方とも、お湯を通して気兼ねなく話せる銭湯という場所は、改めていいものだなあとこの時に実感しました。
Q:あなたにとってズバリ、銭湯の魅力とは?
初めて会った人とも気兼ねなく話せるコミュニケーションの場所、天窓からの光の移り変わりを楽しめる美術館のような場所、溜まった疲れをリフレッシュして、日常を頑張っていけるようにするセーブポイントのような場所。などなど・・・銭湯は沢山の魅力に溢れています。ワンコインで行けて各地域に必ず一つはある場所なので、沢山の方が、隙間時間に喫茶店に行く気軽さで銭湯を利用くださると嬉しいです。
温冷浴について語っている時の歩波さんの横顔が、それはもうキラキラしていて、本当に気持ちいいんだなあとしみじみ。勉強させて頂きました。次回の “Humans of 入浴” はどんな銭湯好きが現れることやら!どうぞお楽しみに。
“Humans of 入浴” は、銭湯の千差万別な楽しみ方に焦点をあて、銭湯通いの極意をいろんな人にインタビューすることで、その魅力を掘り下げてみよう!という、TOKYO SENTOの連載企画です。