東武スカイツリーラインの「五反野駅」から徒歩5分ほどの位置にある足立区の「曙湯」。
首都高、環七、昭和通りがほど近く、車でのアクセスもしやすいです。
外観は入口の立派な唐破風の屋根と、コインランドリーのオレンジ色のビニールの屋根が特徴的です。
建物自体は昭和32年に建て替えていますが、「曙湯」はそれ以前より存在しますので、100年、もしくはそれ以上の歴史があると言っても過言でないでしょう。
平成8年時の中普請(内設備の改装)時にフロント、露天風呂、乾式サウナなどを新しくし、現在の形に落ち着きました。
前回【PART.1】では男湯を紹介しましたが、今回【PART.2】では女湯と最近の「曙湯」のお客さん事情、そして銭湯を取り巻く今後の考え方などをご紹介していきます。
♨ 女湯の壁は姫路城がモチーフのオリジナルの城!
「曙湯」の特徴の1つとして上げられるのが女湯のお城の絵です。
男湯の富士山がメインかと思いきやこちらの方が雄大で、焼き物だけに桜と城、そして麓の木々がとても発色良く描かれています。
このため「曙湯」は入口の立派な唐破風も相俟ってスチール撮影や映像撮影などで度々使用されることがあります。
最近ですと雑誌「Hanako(ハナコ)」や「散歩の達人」にも掲載されました。「散歩の達人」に至っては表紙になっていました。
シャンプー・ボディーソープは浴場備え付け。そしてタオルはフロントで借りられますので手ぶらでご入浴頂けます。
♨ 女湯も充実のお風呂!
浴槽はスーパージェット風呂、座風呂、ボディーマッサージ風呂、寝風呂に薬湯。
そして女湯にも露天がございますので、ゆっくり長めに色々なお風呂を楽しめます。
そしてサウナと水風呂です。浴場が広く、この充実の設備…。
最近は近隣に大学ができたこともありお客さんは増加傾向にある模様。
お客さんの平均年齢は15歳程下がり、口コミやSNSの拡散により「曙湯」が知れ渡るようになったようです。
一見渋い外観からはこの浴場のキレイさは想像がつきにくいので、そのギャップから「友達に教えたくなる銭湯」なのです。
♨ 女湯側のフロントは女性客への気遣い。
脱衣所も奇麗です。張り紙にあります、各種ドリンクの中でビール230円は安いですね…!
大きな鏡のある洗面台では風呂上がりにメイクも可能です。
入口の「半フロント・半番台」ですが、女湯側はロッカーが突き出ている位置関係で絶妙に脱衣所が見えない設計となっておりました。
普段、番台からの目線が気になる客さんからするとありがたい配置です。
♨ 最近のお客さんの傾向や、足立区のサービス。
設備の良さ、メディア露出のし易さなどのメリットもあり、お客さんの若返りや入浴者数の増加など、比較的「曙湯」は良い傾向にあるようですが、業界としてはまだまだがんばらなければいけない状況ということで
「昔は家風呂がない人がほとんどだったのでそこがターゲットでしたが、昨今99%は家風呂がある状況なので、ない人をターゲットにしてもしょうがない。
家風呂のある人をどう取り込むか。
例えばいくらお客さんが来なくなったとは言え人や子供がいない場所はない。なのに子供が来ないのであればまだまだ努力が足りない。」
とオーナーの3代目はおっしゃっていました。
3代目のお話では「幼少期に銭湯に行った経験が無ければ以後、ほとんどの人は銭湯に行かない」という、とある大学の調査結果をもとに、子供への集客アプローチを大事にされていました。
銭湯に来てくれた子供には「薪や釜」を見せたあげたり、「子供の日」のイベントでは足立の浴場組合で仕入れている子供の入浴客用のサービスドリンクを「曙湯」は4倍近く仕入れて子供にあげたりと、
「小さい頃に銭湯での良い体験をさせる」
ということを考えておられました。
子供から大学生まで若い世代の取り込みを大事にされていますが、もちろんご高齢のお客さまも大事にされています。
足立区では70歳以上になると区から、足立区内の銭湯を110円で利用出来る「ゆ~ゆ~湯」入浴証が送られて来ます。
こちらの入浴証には、利用可能日のシールが貼られていますので、そのまま公衆浴場に持参して提示すれば350円引きの110円で入浴できます!
最後に3代目に「他に曙湯のウリはございますか?」と質問をしたところ、
「特徴やウリはお客さんが決めるもの。露天風呂が良い、サウナが良い、などあるが、入ったお客さんに判断してもらいたいし、そこで思ってもらったものが一番のウリだと思う。」
とおっしゃっておりました。確かに…。
というわけで今回「曙湯」を外から内からご紹介させていただきましたが、入浴施設としてとても設備が充実していたり、キレイだったりするのと同時に、外観や内装の格好良さから「撮影向き」の銭湯でもあるなぁとも思いました。
「曙湯」の通り沿いは一方通で車が停めやすく、近くにコインパーキングもあるので良い感じです。
入浴、撮影など各シーンで人気の出そうな「曙湯」。北千住、荒川周辺に立ち寄った際には是非ご利用ください!
銭湯とデザイン。社会事業会社「Tokyosento Inc.」代表取締役とデザイン会社「DSCL Inc.」取締役を兼任しています。 現在は新しく銭湯を中心としたコミュ二ティの活性化やソーシャルデザイン領域をやっています。
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