全国温泉ランキング100選に必ず入選する温泉地「登別温泉」
支笏洞爺国立公園「地獄谷」。「かおり・風景100選(環境省)」、「北海道遺産」認定地
こんにちは。泉質重視の温泉銭湯ライターとむです。温泉のある銭湯が大好きです。
遥々やってきました、日本一広い都道府県、北海道。
北海道…意外と知られていませんが、実は日本一温泉地の数が多い都道府県です。
その数多くある温泉地の中でも、全国温泉ランキング100選には必ず入選する日本が誇る温泉地、「登別(のぼりべつ)温泉」へ行ってきました。
毎日1万トンもの温泉が自然湧出する「登別温泉」
日和山と大湯沼(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/登別温泉)
登別温泉といえば、誰でも一度は聞いたことのある温泉地ではないでしょうか。
安政年(1858年)に湯治を目的として止宿所を建てたことが始まりと言われている歴史ある温泉地です。
登別温泉はJR登別駅から北方へ約8Kmに位置しており、車では新千歳空港から1時間弱、標高は200~300mと、アクセスしやすい場所にあります。
遊歩道や大自然の足湯、間欠泉など観光地としても栄えていおり、近年は外国からの旅行客も多く賑わっています。
温泉街の奥には地獄谷、大湯沼、奥の湯など複数の源泉が存在し、なんと毎日1万トン!もの温泉が自然湧出しているそうです。
一般家庭の浴槽(約200L)で換算すると、登別温泉はその5万倍!(1万t÷200kg)の湯量です。驚き!
さらに、その複数の源泉地では、それぞれ異なる泉質の温泉が湧いており、その種類は全部で9つにも及ぶということですからこれまた驚きです!
登別温泉の源泉を味わえる秘湯「上登別温泉」
そんな登別温泉から西に位置するのが、今回ご紹介する「上登別(かみのぼりべつ)温泉」です。「新登別温泉」とも言います。登別温泉の源泉を味わえる秘湯です。
「観光地に行きたいけど、静かなところでゆっくりしたい。」
そんな方におすすめしたい温泉旅館が「上登別温泉 旅館四季」です。
観光地として有名な登別温泉から少し離れた場所にあり、秘湯感を感じることができます。
取材時はあいにくの雨でしたが、「雨の日は足が遠退くお客様も多いとのことから、温泉をゆっくり楽しみたい方には狙い目」だそうです(旦那様談)。
つまりこんな日は…浴槽を貸切状態にできるチャンス!
浴槽を貸切……なんて贅沢。
静かな温泉にゆっくり、ゆったりと浸かりたい方にお勧めです。
そんな秘湯ですが、なんと朝8時から入ることができ、夜も22時まで入浴可能です!
旦那様も毎日大変です。休みは不定休とのこと。
登別温泉では、日帰り入浴料金が1000円を超えるところも多い中、旅館四季では、その半額500円で入湯できます。そして、幼児は「無料」!
同じ登別温泉を半額で味わうことができるのですからお得ですね。
家族3人で営んでいるアットホームな「旅館四季」
玄関に入るとすぐに綺麗なロビー。鹿の剥製がお出迎えしてくれます。
さらに、甘えん坊将軍の忠犬「健太」もお出迎えです。
事故により後足が不自由な健太ですが、そのつぶらな瞳でお客様を癒します。
「こんな健太を温かく育ててくれたのはお客様です」と笑顔の素敵な旦那様。
旦那様にお話しを聞くと……「旅館四季」は家族3人で営んでいるそう。アットホームな雰囲気が素敵です。
家族経営のため、買出し等で不在にしている場合もあるようです。
そのため、日帰り入浴可能な時間帯でも、入浴される方は事前に宿へ電話連絡することをお勧めします。せっかくの機会を逃さないのように事前連絡しましょう!
そして、ロビーでスリッパに履き替えると、すぐに一本の廊下。
ここには8畳4室、12畳1室、15畳1室の計6室の客室があります。
1泊2食付で、なんと7150円!リーズナブル!
ご飯は一つ、一つが手作りで、手の込んだ料理が楽しめます。
ちょっとした旅行で気軽に訪問できる料金設定です。
お肌に優しい硫黄泉「奥の湯源泉」
客室のある廊下を通り抜けると、いよいよ浴場が現れます。
入口の暖簾の前には外の自然が楽しめる大パノラマになっています。綺麗ですね(8月撮影)。
暖簾をくぐると、いよいよ待ちに待った温泉の登場です。
旅館四季の温泉、実は登別温泉の「奥の湯源泉」を使用しています。
名前は上登別や新登別ですが、歴史ある登別温泉を楽しめるようになっています。
高温の奥の湯源泉を4本のパイプで運ぶことで冷まし、そのまま浴槽へかけ流しています。
こんな濃厚な温泉を止めることなく運ぶパイプの管理は大変そうです。
気になる泉質は……単純硫黄温泉(弱酸性低張性高温泉)。
硫黄の臭いが強く、湯の華の入った灰色のお湯です。
pH4.9の弱酸性。人間の皮膚はpH5~6の弱酸性のため、肌に優しい温泉です!
硫化水素ガスが約10mgも溶存しているしっかりとした硫黄泉。
※温泉分析表は、暖簾横に、控えめに置いてあります。
シャワーは男女それぞれ3台。リンスインシャンプー、ボディソープが常備されています。
1つの湯船を間仕切りで分けた露天風呂。「天然泥パック」が楽しめます。
内湯だけでなく、大自然に囲まれた露天風呂もあります。
露天風呂には、泥を集めたタッパが置いてあり、「天然泥パック」が楽しめます。
泥には肌をツルツルにする成分やミネラルが含まれているため、直接お肌に塗ることで美肌効果が得られます。
泥パックのできる温泉は数が限られるため貴重な温泉です。
奥の湯源泉から毎日流れ出る泥を、温泉とは別に集めているため、天然のまま、人の手が加わっていない泥です。綺麗なので安心して全身泥パックが堪能できます。泥パックしてそのまま温泉に入るなんてことも…。
そして最後に、この露天風呂には仕掛けがあります。お気づきでしょうか。
露天風呂の中央の間仕切り部分を見てください。四角く囲まれた小さな板が見えるでしょうか。これは男湯、女湯それぞれに設置してある鍵の開閉ができる扉です。
お互いの了承を得られれば、扉を開けて通じることができます。
何ともロマンチックな扉ですね。ご夫婦やカップルで顔を見せあいながら、素敵な露天風呂と景色について会話できるようになっています。
旦那様のお話によると、「元々、露天風呂は1つの湯船であり、それを間仕切りで2つに分けてた」とのこと。
歴史が垣間見れる造りですね。アットホームな旅館ならでは。
登別近郊へ訪問されるときに、この記事を思い出して、ぜひともこの素敵な旅館「四季」へ足を運んでいただけると嬉しいです。
温泉で元気に! 繋がりを大切に!
今回の露天風呂の写真は夏の景色ですが、旅館四季のHPには冬の雪景色の写真も掲載されています。「四季」折々の景色を楽しめるようです。HPへもアクセスしてみてください!
温泉若手の会 主宰。鮮度を重視する温泉マニア。
INSTAGRAMFACEBOOK温泉が好きすぎて47都道府県の温泉に入湯。総入湯数は1000以上。
『一湯一会』を合言葉に気楽に湯めぐりしています。
温泉ソムリエ、温泉観光管理士などいくつかの温泉資格を保有。
日本旅のペンクラブ会員。