2016年10月15日より改装オープンした、江戸川区小岩にある「武蔵湯」。
改装の最後の仕上げのペンキ絵を「田中みずき」さんが描かれると言うことで現場にお邪魔してきました。
前回【PART.1】では午前中に左側の浴場のペンキ絵を描かれている所をレポートしましたが、今回はその後の右側浴場の制作風景、完成までをレポート!
江戸川銭湯のマスコットキャラ「お湯の富士」が描かれて行く所も押さえましたよ!
それでは後半レポートをお送りします。
♨ 右側の制作過程も左側と一緒。
線で当りを付け、大まかに色塗りをし全体を見ながらディティールアップをして行く。この作業は右側も一緒です。
一旦全体を把握するためにお茶を飲みながらペンキ絵を見る「田中みずき」さん。
この時既に18時頃…。半日で終わる仕事とはいえその労力と集中力はとても大変なものです。
全体を確認し更なるディティールアップ。
ペンキ絵は筆のタッチが荒め。そもそも近くで見るより遠くから眺めたりする絵なので荒くて良いのです。そしてそのタッチが「味」にもなります。
小島に次々と松の木が生えます。
♨ 作業は佳境。右側と同時に左側の仕上げも。
大きなペンキ絵を描くには道具も様々。
たくさんのペンキを持つため絵を描くための「キャンバス」をパレット替わりにする「田中みずき」さん。
この段階まで来ると通常の小さい筆による細かい作業が続きます。
ここで既にある程度仕上がっていた左側の浴場へ移動。右側と比較しながら絵のボリュームのバランスを比較します。
その後「田中みずき」さんは右側に戻り、旦那さんが左側の微調整。
所々で旦那さんのサポート、連携プレーが入ることによって半日で描き上げる、という作業が可能なように見えました。
♨ 終盤の目玉作業!「お湯の富士」の描き方は…?
時間はこの時20時頃。作業はもう終盤です。
富士山の風景がある程度仕上がった所で右側の「お湯の富士」の描き込みが…!
まずは全体の輪郭と大まかな色分けが。
ピンクのホッペと頭頂部の白い冠雪部分を塗って行きます。
ドンドン馴染みのビジュアルが浮かび上がって行きます。
僕はぼやけたイメージで覚えている「お湯の富士」だったので「あとは顔描いて終わりかな?」と思いきや…。
輪郭線が描かれて行き…。
帯の輪郭や表情が描かれて行きます。
そうでした!化粧回しには「銭湯のシンボルマーク」がありました!
そして意外と重要なディティールのような気もする「乳首」と「おヘソ」を描いて「お湯の富士」の完成です。
小島で立ち尽くす「お湯の富士」は何を思う…。
♨ 完成!改装した「武蔵湯」で最新のペンキ絵を見よう!
「お湯の富士」が描き上がった所で最後に浴場中央のボリュームを調整する「田中みずき」さん。
最後まで丁寧に仕上げて行きます。
そして…。
完成です!
半日とは言え長い取材でした笑
この日はメンバー3人で代わる代わる写真を撮り続けました。
この大きな絵を半日で描く技術は業界ならではですね…。現在ペンキ絵師は「田中みずき」さんを含めて3人だけ。
デザインを出力して貼って行く、という手法などが今時の技術としてありますが、銭湯ならではの「シズル」として残して行きたいと同時に他にもペンキ絵師が誕生すれば良いな、と思います。
特に美大生の皆さま、いかがでしょうか?
最後に「田中みずき」さん、旦那さん、「武蔵湯」の旦那さん(右)で記念撮影。
「田中みずき」さんの頭の上に乗る「お湯の富士」が何とも可愛らしい…。
以上がペンキ絵の制作風景でした。
「田中みずき」さんは江戸川区の浴場を主に色々な銭湯でペンキ絵を描かれています。
他にも「中島盛夫」さん、「丸山清人」さんというペンキ絵の大先輩がいらっしゃり、共に頑張っておられます。
一口にペンキ絵と言っても三者三様の描き方やタッチがありどれも微妙に味わいが違いますので、そういった所も気にかけながらペンキ絵を楽しんでもらえれば幸いです。
そしてここ「武蔵湯」のペンキ絵では珍しい「田中みずき」さんのサインも。
「お客さんにペンキ絵を見てもらうため、絵の邪魔になるようなサインは普段は書かない。」
という「田中みずき」さんですが、今回は「武蔵湯」の旦那さんのご好意もありサインを書いていました。
なかなかレアな「田中みずき」さんのサインを見れる「武蔵湯」!
改装した「武蔵湯」で、是非「田中みずき」さんのペンキ絵をご覧下さい。
銭湯とデザイン。社会事業会社「Tokyosento Inc.」代表取締役とデザイン会社「DSCL Inc.」取締役を兼任しています。 現在は新しく銭湯を中心としたコミュ二ティの活性化やソーシャルデザイン領域をやっています。
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