港区で温泉という名を冠する創業100年を超える老舗、『麻布黒美水温泉 竹の湯』。
“麻布十番”と聞けば、おしゃれな店や大使館が立ち並び、銭湯という言葉からは遠い地のひとつであるように思われます。ですが、5湯しかない港区の銭湯の中にあって、温泉という名を冠する創業100年を超える老舗が居を構えているのをご存じでしょうか。
「麻布十番駅」の1番出口から首都高速2号線に沿って麻布山方面へ進み、閑静な住宅街に入りながら10分ほどかけて進んでいくと、マンションの1階に黄色い看板が見えてきます。ここが『麻布黒美水温泉 竹の湯』です。
入浴料を支払い、フロントを抜けて行くと、明るい色の床材を使用した清潔感のある脱衣所へと辿り着きます。温泉入り口の引き戸の上には、金魚をあしらったステンドグラスが迎えてくれます。ロッカーは、靴箱の鍵を中に差し込むことで使用できるようになっていました。
浴場に入ると正面にある浴槽の壁には大きな船のタイル絵。シャワー付きのカランは20個ほどあり、混雑時でも安心して使うことができます。正面に向かって左手がサウナ、右側が水風呂になっています。
メインの浴槽は2つ。ぬるめ(約40℃)と熱め(約43℃)です。ぬるめの浴槽が5人ほど、熱めの浴槽が3人ほどの大きさでそれほど広いというわけではありませんが、東京ならではの黒湯を、違った温度で楽しめるのはたまりません。お湯は少々ぬめりが感じられ、肌触りは抜群に良い。手を垂直に入れると、指の先はすぐに見えなくなってしまうくらいの濃さです。
サウナは利用料500円。4人ほど入れば満室になってしまいますが、出たあとの水風呂(約17℃)も、これまた黒湯というこだわりっぷり。交互浴と組み合わせて楽しむのも良いでしょう。
今回は日曜の夕方に来訪しましたが、開店直後から近所の方々で大盛況でした。待合いには長椅子が置かれ、風呂上がりのコーヒー牛乳も味わえます。施設こそ新しくはなっていますが、長い歴史の中で利用客を癒やし続けてきた、紛れもない地元密着型の銭湯がここにもありました。
趣味は古着収集と飲酒。サウナ付き銭湯で心身を整えています。ライフワークとして風景やスナップを撮影。
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