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「銭湯はインターネットを使わないSNS」大木ハルミが音楽で繋ぐもの

クリエイターの銭湯お湯かけ論 Vol.3 -大木ハルミ-

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SNS(Social Networking Service)という言葉が当たり前のように使われ、インターネットを使って誰もが誰かと瞬時に繋がれる時代が、当たり前のように到来している。しかし、そんな横文字が浸透する前から、銭湯には個人間の繋がりを生み出しコミュニティを形成する”インターネットを使わないSNS”として機能していたのかもしれない。

そのことを気づかせてくれたのは、木造一軒家の「大木荘」に住みながらアーティスト活動を行う、銭湯をこよなく愛するシンガーソングライター・大木ハルミだ。インターネット配信を使った活動を精力的に行うも、心に寄り添うような温もりを感じる彼女の音楽が繋げるものとは。
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Interview & Edit:ゆざめレーベルヤマモト(東京銭湯)

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ーー銭湯が大好きという大木さんですが、どのぐらい通われているんですか?

大木ハルミ(以下、大木):2年前、実家から離れて風呂無しの木造一軒家に住むことになりまして。親戚にシャワールームを作ってもらったんですけど、湯船に浸かりたいんですよね。もともとお風呂が好きだし、その一番大好きなものが無くなってしまったので、銭湯が必須になりました。そこから週一で通っていますね。

ーーその木造一軒家が「大木荘」なんですね。

大木:はい。「大木荘」は自分で名付けたわけではなく、おばあちゃんの持ち家なので本当に「大木荘」なんですよ。その家のリフォームをする為に掃除を手伝いに行くことになったんです。その時「私、ここに住めるかもしれないな。」と思って。おばあちゃんに「ここに住んでもいいかな?」て聞いたら、「いいよ」と言ってくれました。おばあちゃんと二人暮らしの時は、居間にピアノがあったので、おばあちゃんが寝静まってからじゃないと創作が出来なかったんですよね。

ーー「大木荘」に住む前も銭湯には行かれていたんですか?

大木:そうですね。楽曲の制作とかで煮詰まってきた時には、夜一人で行くことがありました。ジャグジーとかミストシャワーがある銭湯だったからリフレッシュしていました。オススメは「ゆーらんど」という銭湯です。森林浴部屋があって、アロマが何秒かに1回シャーッと出てくるんです。びっくりするんですけど(笑)。銭湯は子供の時から慣れ親しんでいました。家の近くにもあったし、御神輿のお祭りで、終わった後に「銭湯券」が配られるんです。知らないですか?

ーーすみません、知らないです(笑)。

大木:え~。当たり前だと思ってた(笑)。大人にも子供にも全員配られて、お祭り終わったらみんなでお風呂! みたいな。お祭りの汗をみんなで流すんです。

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ーー家のお風呂ではなく、銭湯に行く理由とは?

大木:やっぱり制作の時とかは家に籠っていて、自分自身以外の誰とも喋らないんです。銭湯に行って、番頭さんと一言「おやすみなさい」って交わす、そういう”あったかい場所”を無意識に求めているんだと思います。

ーー生活の一部として利用する、日常的な場所になってるんですね。

大木:最近の人は、知らない人と裸同士になる機会ってそんなに無いから、それだけでも”非日常”な空間だと思うんです。私もそうだったんですけど、その”非日常”だったものが”日常”になってる感じです。考えると全部そうで、私が「大木荘」に住んだのも最初は”非日常”だったけれど、今では普通になっちゃいました。

ーー大木さんといえば京都「地下鉄に乗るっ」でもテーマソングに起用された楽曲「sakura」がとても印象的でしたが、制作で意識されていることは?

大木:作曲を始めた時からずっと意識しているのですが、「キャッチー」と「ロック」を足して自分なりの「ポップ」を表現しています。PRムービーでも、キャラクターデザインを担当する賀茂川さんのイラストは、日本画をベースに描いていたり、「sakura」に出てくるキャラクターの衣装は”和”をテーマにしていたりと、今の日本人の心に響く作品に仕上がったと思います。

ーー楽曲からもポップの中に、どこか伝統的な趣も感じられます。

大木:私、幼少からおばあちゃんと二人暮らしをしていたので、結構古いものが身近だったし、そういうものを大事にしようとするのはかなり強い方だと思います。日本家屋に住んでいて心地良いのもそれが理由なんです。銭湯もそうかもしれないですけど、無駄なものをなるべく無くして、みんなが利用すればエコにもなるし、コミュニティも充実する、というのは日々感じています。

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ーー銭湯を通して、創作活動に影響を与えることはありますか?

大木:最近、銭湯の役割が今のSNSと近いものがあると思っていて。若い人は寝る前にSNSで「おやすみ」と発信することで誰かと繋がれるけど、年配の方は銭湯へ行って、今日あったことを誰かに話したり、番頭さんに一言挨拶をして他者と繋がる。そういう役割の場所なんだなって思います。私もインターネットを使って配信をしていますが、インターネットで配信していると思わないでやっています。私はストリートライブをやらないので、その代わりに、特定の人だけにならないようにたまたま見てくれた人にもちゃんと見てもらえるように意識していますね。インターネットがきっかけだったとしても、最近では音楽を聴いてくれる人とかなり距離が近くなってきているので、そういう”密な繋がり”というところは銭湯と共通して上手くやっていけたらなと思います。いつか銭湯でもライブをやってみたいですね。

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