銭湯メディア『東京銭湯 – TOKYO SENTO -』の2周年特別企画として、シェアハウスも運営する鶴見の『清水湯』の高橋氏と、『東京銭湯 – TOKYO SENTO -』の取締役の日野氏、後藤氏、そしてご存知『ホリエモン』こと堀江貴文氏との4者で、銭湯の今後についてスペシャル対談を行いました。
意外にも銭湯が好きでビジネスとしても興味を示している堀江氏。
【PART.1】に引き続き4者の対談をお送りします。
♨ 人的稼働が大変な「銭湯」。いっそ無人化してしまえば!?
堀江:
だって1日100人しか来ないんでしょー。1日100人でいくらでしたっけ?客単。
高橋:
470円です。(※神奈川県入浴料金)
堀江:
色々あったとして500円だとしても5万円でしょ〜。1泊10万ぐらい取れるんじゃない、貸切なら。Airbnb。広いお風呂が付いてて。
うちのオンラインサロンで出た話で、銭湯でビール掛けやりたいらしいんですよね。
ビール掛けイベント、今度やらせて下さい。
日野:
水風呂にビール沈めて(笑)
堀江:
いいじゃないですか!水風呂、ビール掛け祭り。
他に「移動温泉車」ってのを作った人が居て、ホントはマジックミラーにしたかったらしいんすけどマジックミラーの重さに断念したって言ってましたけど。車検が通らないって言ってました。
日野:
移動式の銭湯っていうのは考えたことがあって、それこそお湯があって、見栄え的に後ろにペンキ絵の富士山でも飾っておけばどこでも銭湯って言えると思う。
フェスとかに出店したりとかも面白いかな。
堀江:
いやぁ~、もうなんか、それでいいんじゃないですか。1日、10万円貸切。
でも僕はどっちかっていうとハイエンド派なんで、ハイエンドビジネスをやりたいっすね。
やっぱ継続性のライフスタイルっていう意味で言うと飲み会の前に銭湯に入る、みたいな。あるいは、朝活的に入る。
僕は家無いんでホテル暮らしなんですけど星野リゾートや東急ホテルに泊まる時は露天風呂に朝入って気持ち良いっすよ。
後藤:
朝入るのヤバいっすよね。朝風呂、うちもたまにやるんですけど朝風呂が好きで来る人も居るし。
堀江:
朝風呂ってあんまりやってないんですか?あまりニーズがない?
日野:
オペレーション的にやっぱ大変なんですよ。
人を雇える状況だったら別なんですけど、今だったら家族経営の方とかが多いんで24時間っていう稼働を体力的に回せない。
堀江:
人を雇うのは何の為なんですか?
日野:
うーんとやっぱり、大体風呂の営業って家族だけでやっちゃうと、1日営業時間9時間位としたら、仕込みと掃除で2時間2時間で13時間労働くらいで、それがちょっと……。
堀江:
そもそも、オペレーションを無人化すれば、ていうのはダメなんですか?
僕はさっきから言ってますけど、会員制にすべきだと思っていて。スマホでアンロックみたいな。
今だってスマホでアンロックするデバイスあるじゃないですか。で、もう後は全員にそれ持たせて。
日野:
みんな番台がやりたいんですよ。番台に座っときたいんです。銭湯の方は。
今お客さんが来てる銭湯って、そこら辺の会話だったりとか、地域のポイントの場っていうところが基本的にしっかりしていたりするんで。
高橋:
ま、立ち飲み居酒屋と一緒ですよね。BARのマスター的な位置付けになってる。
『喜楽湯』はそういうコミュニケーションで来てらっしゃるお客さんが。
若い番頭が2人やってて、そいつらがアイドルっぽく、おしゃれにできるんで、それでまあ、彼らが好きで来てくれるってケースもある。
堀江:
朝は居ないとかでもいいじゃないですか。朝は会員制でーす、みたいな。
後藤:
できなくはないでしょうね。うちの場合、薪でやってるんで、薪を焚べなきゃいけないってのはあります。
堀江:
薪でやってんのは、「薪でやってる」っていう付加価値を付けるためですか?
日野:
いや、そっちの方が安いからです。
薪だと解体業者からタダでもらえるんで、ガス化しちゃうとそれだけで燃料費が掛かってしまう。
堀江:
へぇぇ〜。
高橋:
30万〜40万ぐらいの間で、結構違いますね。
「薪」は廃材をもらえれば良いのでコストはかからないが常に薪を焚べる必要がある。
「ガス」はスイッチ1つで手間はかからない、燃料不足の心配がなく安定供給がされるがコストがかかる。
「重油」はガスよりも安いが購入の際に価格が変動するという、それぞれの特徴があり、どれを燃料にするかはそれぞれの銭湯によって違う。
後藤:
結果的に複利効果で、薪でやるとお湯がやわらかいとか、ニオイがないってことで、好きで来てくれる人ってのはやっぱり居ますね。
堀江:
それはあるかもしれないっすね。
日野:
割とどこもジリ貧でやってる所が多いんで、中々設備投資だったりとか、切り替えが中々難しいところは結構ありますね。
もちろん、燃料費を気にしないぐらいの集客だったりっていうのができればいいんすけど。
堀江:
まぁ実際『大江戸温泉物語』とかめっちゃ人気なんですよね。夜中とか行っちゃったりするもんねー。
後藤:
みんな入浴は好きなんですよ。何でそこで銭湯に来てくれないか、最初に戻っちゃうんですけど。
敷居が高いと思われちゃってる。
堀江:
敷居が高い、営業時間が短い、アメニティも揃ってないし、食い物屋も無いし、みたいな。
だからといって、飲食店ってそうはなってないじゃないですか。飲食店って別に大規模なチェーン店だけが流行ってる訳ではなく。
むしろ食べログみたいのができて中小のイケてる飲食店が予約取れないみたいな状況になってる訳で。
銭湯もやりようによってはお客さん来過ぎて入れない、みたいな。銭湯って出来ると思うんですけど。
日野:
店舗経営ってことだけを考えると、やっぱりまあ、まだまだ普通のことをやらなきゃいけないっていう所が。
堀江:
やるべきことをやってないだけの話だと。やっぱり思いますね。
日野:
それは、ぼくらも思いますね。価格帯とか変えたりってことをやりたいんですけど、「物価統制令」があったりとか、中々やりづらいとこはあるんすけど、どうなんですかね。
ここ『清水湯』だったら今、470円なんですけど、堀江さんがここに来て入るとするといくらぐらいだったら……?
堀江:
いや、僕は値段気にしない人なんすよ。値段が問題じゃないんすよ。
利便性だったり、会員制にするだったりとか、そういう施策ですよね。と、ドライヤーが30円とか、現金しか使えないとか。
マッサージが無い、夜中開いてない、朝開いてない、シャワーがなんか使いづらいとか。
高橋:
マイナス要素が1個1個……。
堀江:
そのマイナス要素無くせばいいだけの話で。
高橋:
みんなわかってるんですけどね。
(一同笑)
♨ 実は銭湯をやってみたいホリエモン!!銭湯に必要なものはやはりコミュニティー。
堀江:
だからやっぱりやってみるしかないんですよね。誰もやらないんだったら僕1軒小さいの任せてもらえばやりますよ!
それなりに投資をしてやりますよ。
日野:
『清水湯』でやってもらったら面白そうだけど!
高橋:
典型的な昔の銭湯っていうとこなんで一番ここがベースになったら色々試せる銭湯が増えるだろうなとは思って。
堀江:
ただねー、ちょっと僕が行きづらいんですよね(笑)
高橋:
場所はこのぐらい神奈川県のとこまで行っちゃうと…場所はどの辺がいいですか?
堀江:
僕はやっぱり都内で、都心部でやりたいんですけど、例えばシェアオフィスとかもありですよね。
シェアハウスもあるわけだから。IT系シェアオフィス。銭湯付きの。
日野:
結構やってるとこありますけど。
堀江:
ただ、人が集まる場所にしたいですよね。
高橋:
建物的なものってありますか?
さっき言ったシェアオフィスはビル型の銭湯で1階2階が銭湯になってるんですけどそういうところでやるのか、こういう昔っぽい建物なのか。
ビル型でも大丈夫ですか?
最近では定休日に専用のワイヤレスヘッドホンを使用して「サイレントフェス」を開催するなど、何かと話題になることが多い銭湯。
写真は「サイレントフェス」の様子。
堀江:
僕個人的にはあんまり建物にはそんなにこだわらないかなっていう。建物の重要性は高くないのかなと思ってますけど。
むしろいかにソフトの部分の満足度を上げて行くのかっていう。
銭湯に行く理由を考えると友達に会えるとか、コミュニティーがそこで成立してるとかってあると思うんですよね。
居酒屋の常連とかもそうじゃないですか。それは作れるから良いっすよね。
高橋:
その為にも会員制とかの方がグループで行きやすいとかありますよね。
堀江:
そうですね、スポーツジムもそうじゃないすか。
なんかサウナとかでよく行ってる常連さんと話をしたりとかありますよね。だから漫画とかもあったほうが良いんじゃないすか。
日野:
コミニティーの価値観だと、割と今の銭湯の文脈には紐付くかなと思いますね。
堀江:
俺は会員制にしてフリードリンクにしたいんだよね〜。
会員制にしてフリードリンクの方がコミュニティーもできていいのかなと。
日野:
やっぱ、コミュニティーってのは必要ですか?
堀江:
コミュニティーでしょ、そもそも。
お風呂ってそもそもコミュニケーションの場じゃないですか。じゃなかったらシャワーボックスみたいので良いじゃないですか。
あー、やっぱ、1個銭湯やってみたいっすね。こんな感じだよー、みたいな。
ただ、ごちょごちょ言われたくないんで、完全フリーハンドで(笑)
こういうの頼んでくる人って途中から上手く行きだしたらごちゃごちゃ言い出してくるんですよ。それは嫌なんで。大体そうなると、訳わかんない方向性になっちゃうんで。
高橋:
全面的に任せてくれるというか、そういう所があれば良いですね。
堀江:
会員はね、クラウドファンディングとかで集められると思うんで。
日野:
最近は結構若い経営者も代替わりで増えて来てる。
今うちが埼玉の『喜楽湯』ってとこでやってるんですけど、そこは荒川で『梅の湯』ってとこをされてる方の持ち物で、僕と同い年の今年34歳なんですよ。割とうちは自由にやらせてもらっています。
『東京銭湯 – TOKYO SENTO -』が運営する川口の『喜楽湯』は栗田家の銭湯で、『梅の湯』と『喜楽湯』は姉妹店のような関係性。
『梅の湯』はフルリニューアル銭湯としては現在一番新しく、水素水風呂など最新の設備が整っている銭湯。
後藤:
その辺の感度はいい人だよね、栗田くん。
日野:
業界は今代替わりのタイミングなので、今後はそういった人も居そうかなとは思いますね。
後藤:
僕らは他に何店舗かやりたいと思ってるんで色々アプローチして行ったりしているので、堀江さんと一緒にやってみたいすね。
日野:
ただ、場所で言うと駅近い銭湯ってなかなか無いんすよ。
堀江:
駅近くなくても良いですよ。むしろ不便な方が良いんじゃないですか。
だから便利であることを追求しようとすると、どうしても資本力の勝負ってことになって来るんで、最終的には。
それはねー良く無いんですよ。お金あるヤツが一番強くなっちゃうんで!結局。
だから、不便なところでやる方が、むしろ良いんですよ。
後藤:
『清水湯』はどうですか(笑)?
高橋:
うち結構不便なんでね(笑)
堀江:
さっきも言ったけどやっぱりちょっと僕が遠すぎるかなっていう(笑)。自分が行けるところが良いなぁ、実践したいんで。
高橋:
自分で体験しながら。
堀江:
そうそう!町を巡りつつ、いろんなもの開発していって。開発っていっても町作りにも絡んで来るんじゃないすか。
日野:
なんかそこって銭湯だけじゃなくって、地域とも組んでやるようにはなると思うんすけど。
堀江:
これってやっぱり町作りなんですよ、この雰囲気作りであり、町作りであるんで。
不動産屋さん的にいうと良いかもしれないですね。町の価値ってすぐ上がるんですよね。最近特にSNSがあるので急激に価値を上げることって出来るんですよ。
例えば、「ビーイング」ていうグループ、B’zとかZARDとかそういうのやってる音楽事務所があるんですけど、そこの人は代官山をそうやって開発してたんですよ。
Being, Inc.は、1978年に東京都港区に設立された、音楽制作会社・レコード会社及びアーティストマネージメントオフィスであり、現在は音楽事業に加え、不動産投資事業も主体となっている。
高橋:
へ〜。そうなんだ。
堀江:
代官山の1階をブティック経営したい人たちに安く貸して、そこにオシャレな人たちがここの2階3階の所に住みたいみたいな感じでどんどん集まって来て、不動産の価値がぶわーっと高まった、みたいな。
日野:
町自体が面白くないと人も集まらないですしね。
堀江:
でもその、面白さを作る1つの要素として銭湯ってのは、コミュニティー作りのコアとしては非常にいいのかなって思いますけど。
日野:
最近、銭湯潰して何やるかって言ったらマンションとかが多くて。それって町として全然面白くなかったりするんで。
堀江:
町の魅力はどんどん無くなって行きますよね。
銭湯をコアにやってこの銭湯面白いよみたいな感じで、回りにそういう人たちが集まって行くっていう流れが出来ると良いんじゃないですか。町作りです。
♨ 実は「東京銭湯 – TOKYO SENTO -」は宇宙にも銭湯を作りたいと思っている!?
後藤:
これはうちの東京銭湯の突飛な最終的なゴールでもあるんですけど、いずれ宇宙で銭湯が流行ると良いな、というのがあって。
堀江:
宇宙で銭湯(笑)。
後藤:
僕らが銭湯作りたいなと思ってるんですけど。まぁいつになるかわからないですけど。それ直感的にどうですか?
日野:
宇宙でも癒しって必要じゃないですか。
堀江:
そうですね。
後藤:
これからちょっとハイエンドな方が宇宙旅行し出す時に、最初のうちはそれで良いかもしれないけれど、だんだん入浴したいという欲求ってあるんじゃないかなと。
堀江:
そうですね~(苦笑)。まぁねぇ……水は貴重ですからね~。
そもそも人間の身体が充分浸かれるお湯を持って行くこと自体が結構なコストになるので、ロケットが安くならないと難しいかもしれないですね。
もうものすごい重量減らしているんで。
高橋:
水を持って行くのは相当大変なことなんですね。
堀江:
飲み水持って行くだけでも……。まぁリサイクルしてるんで、一回持っていけば良いと思いますけど。ひとっ風呂100万円みたいな。
そういう価格設定になるんじゃないでしょうか。
高橋:
富士山じゃなくて地球を見ながらお風呂に入れたら最高かもしれない。
堀江:
国際ステーションくらいの高度だと地球の丸い形は見えないんで、月に行く軌道か、あの真ん丸な地球を見ようとすると、本当に静止軌道くらいの所まで行かないと見えないんですよ。
ひまわりとかがいる軌道くらいまで行くと真ん丸な地球が、すっごいでっかい地球が、ぼーんとそこにあると思いますけど。それは絶景でしょうね。
ただ、でもその頃はバーチャルリアリティーが広く見れるようになってるのかな。多分。
こんな景色が見える宇宙の銭湯がそのうち見れるかも…しれない…?
後藤:
なるほど、まだまだ「銭湯」には色々な可能性がありそうですね。堀江さん、今日はありがとうございました!
堀江:
じゃ、あとは風呂でも入ってね。
日野、高橋:
ありがとうございました!
堀江:
ぱぱっと着替えて入りましょうよ。裸の付き合いで……!
♨ 対談を終えて。(東京銭湯 日野コメント)
『東京銭湯 – TOKYO SENTO -』を立ち上げて早2年。
最初は銭湯好きの友達集めてブログ程度に記事上げてくかぁ程度にメディア運営を舐めて始めましたが、1年経った頃から『喜楽湯』の運営も始まり、その頃からテレビや雑誌などのメディアからも問い合わせが多くなりました。
単純に『東京銭湯 – TOKYO SENTO -』や『喜楽湯』の取材の問い合わせ以外にも「銭湯の特集番組をしたい!」「番組内で銭湯のコーナーを設けたい」などの色々な問い合わせを頂くようになりました。
そんな中、ある程度銭湯情報、あるいは銭湯に関する相談窓口的にプラットフォームのような役割も担えるようにはなって来たかな、と思うと同時に、世の中的には益々銭湯が注目をされて来ているように感じます。
そんな折に堀江さんが「銭湯に興味を持っている」という情報が飛び込んで来たのはビックリしたと共に、今後銭湯はまた別の段階に、新しい時代に突入して行くような気さえしました。
今回『清水湯』の高橋くんと「るふろ」代表の三田さんの協力もあり実現した堀江さんとの対談ですが、とても有意義な時間であり様々なアイデアを聞けたので、今後実践しつつ、堀江さんとも一緒に銭湯が出来れば面白いなぁと考えております。
今後の銭湯の発展を願うと共に引き続き『東京銭湯 – TOKYO SENTO -』も面白くして行ければと思います。
今後とも皆さまよろしくお願いいたします!
最後は対談メンバーで「るふろ」の入浴剤を入れてパシャり!東京銭湯 後藤氏の後ろにいるのは、左から「るふろ」代表の三田氏、そしてスタッフの皆さん。
東京銭湯の運営スタッフです!
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