どうも!本日は銭湯後のべろべろ、別名“せんべろ”活動がライフワークのライオン丸がお送りします!
向かう先は都内屈指の繁華街、銀座のど真ん中に君臨する金春湯(こんぱるゆ)!
”はる”ではなく”ぱる”とはまたアイドルっぽいチャーミングな名前に心踊るばかりであります!
そんな金春湯は、なんと1863年創業の老舗中の老舗!
1863年って、かのエイブラハム・リンカーン初代大統領が奴隷解放を宣言した、はるか遠い昔の時代ですよ!歴史の授業中、鼻をほじりながら「奴隷解放!!」とばかりに男友達に鼻くそを投げつけ嘯いていた頃の自分を罵りたくなってきました。
とはいえ、心は躍動しつつも、普段は阿佐ヶ谷を中心とした中央線界隈にたむろしている上京ひきこもりの私としては、いささか肩身がせまい華やかな街、銀座。
ザギンでシースーなんてはもってのほか、場末の居酒屋で赤黒いマグロのぶつをつまむことを常とする日常生活からは遠い存在、銀座。
不慣れな土地へ初めてのおつかい気分で独り身飛び込むのはいささか心が折れます。
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いざ、銀座駅に到着!
iphone4で撮影
銀座駅に降りるやいなや、あらゆる煩悩を削ぎ落とした私はウィンドウショッピングに目もくれず、ただひたすらに7丁目方面向かうまま。
ふと路上に目をやると、世間はインバウンド景気真っ只中、中国人客がこれでもかというくらい大きな手土産を抱えて闊歩しており、経験もしてはいませんが、かつての古き良き日本のバブル時代を思い出す限りです。物欲の煩悩を捨て去ったはずでしたが、思わず肩パット強めのダブルのスーツが欲しくなってきました。
iphone4で撮影
銀座駅から金春湯までの目印は、7丁目の交差点SHISEIDOパーラー。池波正太郎先生の若き御姿が目に浮かびます。その交差点を右折し、一本目の十字路を左に曲がると金春湯の煌めく看板をすぐに発見。
せっかくなのでiPad Airで撮影
周囲は飲食店に囲まれ、ビジネス街新橋も近いせいか、玄関先では出勤前のお姉さん方、勤務後のサラリーマンのおじさん方がちらほらと。仕事のビフォーでもアフターでも中休みでもどうぞご利用あれ!という雰囲気が漂い、その度量の良さを感じさせる佇まいですね。中休みサイコー!!
せっかくなのでiPad Airで撮影
雨に濡れ、臭いに蒸れたぐちょぐちょの革靴を脱ぎ脱ぎいざ入店。
以降全てiphone4で撮影
玄関をくぐると、正面には「わ」の字の立て札が快く出迎えてくれます。
※銭湯の表に掲げてある「わ」の字の看板は、仲間の銭湯ライターkrysが書いているように(https://tokyosento.com/review/197/)「わいてます」つまり「いつでも入って頂戴!」の意。
左手に靴箱、右手に男湯と女湯の入り口が分かれており、扉の裏側に番台がある昔ながらのスタイル。
【まずは金春湯を見守る神様に敬礼】
料金を支払い、脱衣所全貌を見渡すと、吹き抜け式の天井と大きな神棚が中央に配置されており、爽快かつ荘厳な空間を全身で感じ取ることができます。まずははやる心を抑え、大きく深呼吸して神々の息吹を感じ心を整えましょう。
番台のおかみさん(昭和20年から番台に立つ元気なおかみさん!)に聞くところ、こちらの神棚は関東大震災後に設えられた、大正時代から金春湯を見守る歴史ある神様とのこと。神に感謝です。
神様に見守られながら衣を脱する行為は、心なしかスピリチュアルな気持ちで高揚しますね!
【中島盛夫さんによる安心の赤富士・青富士】
浴室の扉を開け、真っ先に目に入るのは中島盛夫さん作の富士絵。
男風呂に赤富士が、女風呂に青富士が見渡せます。
そんな綺麗あでやかな赤富士に見守られ、溜まりに溜まった垢を洗い落とす行為は清潔感を倍増させてくれますね!
そんな神々しくかつ清々しい禊の儀を終えて、いざ入浴。
っとその前に!
【昔ながらの広告桶に注目】
風呂桶も見逃してはいけません。定番のケロリン桶ではなく、こと珍しい「モモテツ」の文字が。銭湯といえば、鏡にご近所の洋品店や酒屋さんの広告枠が入っていることが多いですが、風呂桶においても然り(ただ、ケロリン以外の広告は絶対数としては少ないようですが)。現代の広告はいやらしく映えるものが多いですが、銭湯空間における広告にほんわかと心穏やかになるのは私だけではないはず。
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さて、湯温は43.5度と、熱湯が苦手な私としてはほどよい温度感。
ここ、金春湯さんでは富士絵の荘厳さもさることながら、その下に飾られた鯉のタイル絵が見ものであります!
渦潮を背景にたゆたう鯉達を尻目に、これまた同じく渦潮のごとく泡踊る超音波ジェットバスに身を沈めると、まるでイルカと一心同体に泳ぐドルフィントレーナー気分。
これまで鯉と言えば、火の国であり水の天国である熊本出身の私としては、「釣り」の対象でありましたが、ここに来たらもはやペット、いやパートナーとしての存在価値まで高まってきちゃいます。
まったり湯に浸かり、入浴後に改めておかみさんに伺ったところ、こちらの鯉のタイル絵は、はるばる石川県より取り寄せた九谷焼の代物とのこと。
銀座の裕福優雅なスナックにも見劣りすることがない立派なタイル絵に、この街を背負ってきた歴史と威厳を感じます。
さらに聞いてみると、このタイル絵には12匹の鯉が描かれており、「1年12ヶ月来い来い」の意が含まれているんだそうです。
「あれっ?」
入浴中、鯉の数を数えてみたところ11匹であった気がしたので、「また12匹目の鯉を探しに来なきゃ。」とフォーリンラブ&センチメンタルな気持ちに包まれ、後ろ髪引かれる思いでその場をあとにしました。
この扉の奥に12匹の鯉たちが待ち構えています。
しかしながら、決してそんな意味で12ヶ月来い来いという訳ではないので悪しからず。。
注意力不足の自分に反省の限りです。
んではでは、銭湯でさっぱりしたら夜の街へGo!!
【今夜のせんべろ活動】
金春湯をあとに、向かう先は新橋駅。銀座の恍惚と光るネオン街より、ぼんやりと酒欲を誘う赤提灯の光にめっぽう弱い私です。
行き着いた場所は新橋ビルのとある立ち飲み屋。
この中に正解のお店が。
カウンターのみの営業で所狭しと人がひしめき合うなぎら健一氏よろしくのダークダックススタイル(カウンターに対し斜め45度で向かい合う)がお似合いの繁盛店。カウンターにつくや否や、お母さんが自慢の手作り煮こごりをオススメするので思わず食指が動き、早速注文。
上がりのいっぱいのハイサワーを一息に飲み干し、すぐに冷酒を追加。湯上りの空腹に、胃袋の奥の底まで酒と肴が染み入ってきます。
ふと、金春湯のタイル絵が頭に浮かび、思わず「お母さん、もしかして、この煮こごりは…?」
「まぐろよ!アラがたくさん入っててコラーゲンがたっぷりなんだから!」
思わず安堵。今宵、鯉は私にとって釣りの対象でも、食べ物の対象でもなく、パートナー以外の何者でもないのです。
また金春湯へ訪れたい。という決意が固まった雨上がりの夜でした。
銭湯後のべろべろ活動、その名も「せんべろ」がライフワーク。東京のお湯とお酒を求めて彷徨う、キバとタテガミを無くした野良ライオン。