こんにちは。銭湯ライターのKamiura mikuです。
昨年末、創業70年以上の『栄湯』がリニューアルオープンしたと聞きつけ、遅ればせながら、やってきました♨
『栄湯』さんのデザインコンセプトは、哲学を目に見える形で表現するコト。
な、なにそれ、なんか難しい……と思いきや、実はこれは『栄湯』近くにある、1904年に開設され、町の人たちに親しまれる「哲学堂公園」内にある「四聖堂」にちなんだもの。
「四聖堂」には、カント、ソクラテス、孔子、釈迦、という東洋と西洋の聖人4名がまつられおり、銭湯内で彼らを“色”で表現したというのですが、一体どういうこと??? 突撃です!
一見すると、住宅街にある普通のマンション型銭湯のですが……
都営大江戸線の落合南長崎駅から歩いて、約10分。
ものすごくふつうの住宅街の一角、マンションの1階こつぜんと『栄湯』は姿を現します。ミントグリーンのおニューののれんが爽やかですネ。
こちらが番台風フロント。シャレオツ〜♨♨♨
フロントに座るのは、女将の石田三枝子さん。
穏やかな笑顔で迎えてくださいました。
さっそく、気になっていた銭湯でなぜ「哲学」をコンセプトに!? と聞いてみると、設計をお願いした、都内にある数々のデザイナーズ銭湯を手がけてきた、建築家の今井健太郎先生の提案とのこと。近隣を歩き回って、この町らしさをたらしめているものが何かを考えた結果だったそうです。
ちなみに、三枝子さん自身は「今まで、哲学に興味を持ったことはなかった(笑)」そうで、慌てて「哲学堂公園」内の「四聖堂」がどんな場所だったのか、かけこんだんだとか。
という訳で、ちっとも小難しい銭湯ではございません!! どうぞ、安心(?)して、気軽に訪れてください。
ロッカーにも、こだわりが詰まっています♨
脱衣所はピカピカで清潔感にあふれています。
イチオシポイントは、特注のロッカー。
銭湯めぐりが大好きな三枝子さんが、あちこちのロッカーをチェックして、使い勝手がいいサイズを割り出したそう。
確かに、よ〜く見ると、常連さんが使いやすそうなよくあるサイズと、大きなバックパックも入りそうな縦長サイズなど、ロッカーの大きさもイロイロ用意されています。この粋な心遣いよ!
ブルーの光に包まれた「カントの湯」
さて、いよいよ気になる浴室です♨
魅惑のブルーに輝く浴室は、18世紀に存在したドイツの大哲学者のイマヌエル・カントの名前がつけられた「カントの湯」。
カントといえば、超のつく難解な哲学書が有名で、哲学とは“人間とは何か”を追及する学問である、と位置づけた人でもあります。
時には、お風呂に浸かりながら、時には人間ってなんだ、生きるとは、……なんて、壮大なコトを考えるのもヨイかも!?
なお、このイメージカラーは、今井先生が聖人4名をこんな感じかな〜?とイメージして、それぞれつけられているそうですヨ。
和風な半露天風呂「孔子の湯」
こちらは、名言連発の『論語』で有名な孔子にちなんだ「孔子の湯」。
一歩中へ入ると、和風の半露天風呂のお出ましです。
孔子の湯だけに、格子の窓があります。
これは、もしやひょっとしてひょっとすると、ダジャレでしょうか(笑)。
イメージカラーはオレンジの色のようです。
淡い紫色に輝く「ソクラテスの湯」
お次は、ところ変わって、お隣の浴室「ソクラテスの湯」へ。
ソクラテスといえば、言わずもがな、古代ギリシアの哲学者であり、偉大なる哲学の祖。そのイメージカラーは、高貴な淡い紫色のようです。
なお、写真でみると、「カントの湯」も「ソクラテスの湯」も、色が強めに見えるかもしれませんが、実際はもう少し光の色は弱い印象で、超リラックスできます!
サウナ室に、釈迦が現る♨♨♨
「ソクラテスの湯」の浴室側には「釈迦サウナ」と名づけられた、サウナ室があります。パッと見はいたって、ふつうのサウナ室です。ところが、見上げると……
お釈迦様が!
ドーン!!!
ありがたや〜。
サウナの天井には、現代的で、地球を飛び出し、壮大な宇宙を感じさせる、黄色をベースにしたカラフルな釈迦が描かれています。
座っている椅子の真上なので、ちょっと首が痛くなるかもですが、じっくり見ると、むむっヒゲが生えてるんだな、とか新たな発見もあります。ちなみに、この写真は床に寝っ転がって撮りました。
どうですか。銭湯で哲学しちゃいませんか?
なお、浴室は男女入れ替え制で、毎週土曜日に入れ替わるので、チェックしてから、お出かけしてみてくださいませ♨♨♨
フリーライター。1984年生まれ。神奈川県の大磯町住まい。幼い頃から、毎日銭湯に通う母親に連れられ、しょっちゅう銭湯へ。銭湯は特別なものではなく、日常生活の一部。入浴はもちろん、サウナをこよなく愛するサウナー。何度も同じ銭湯に通う派。