日々是銭湯。こんにちは、美月です。
以前「生ビールが飲める銭湯」としてご紹介した『岡田湯』。
エビスの生ビールが飲める!というだけでビール好きにはスペシャルな銭湯でしたが、訪れてみたら浴室もロビーも今まで見てきたどの銭湯にも当てはまらない個性派っぷり。
これは一度で伝えきれないと思ったので、後日改めて取材に伺いました。
取材の最中から「これはむしろ住みたい」「全然住めるね……」とつぶやく我々(住みたい銭湯ナンバーワンと言ってもいいでしょう)。
「住みたい銭湯」とはいかに?『岡田湯』の魅力をたっぷりお届けします!
♨ここは銭湯?おしゃれロビーに驚愕すべし。
東武伊勢崎線「西新井」駅より徒歩12分。商店街から少し離れた住宅街に『岡田湯』はあります。
外観は銭湯と気づかないくらい、スタイリッシュな建物。
入口は2階。エレベーターで2階へ上がります。
券売機で券を買い、フロントを抜けてロビーへ足を踏み入れると……
ロビー!!っていうか、リビング!!
自然光が差し込む明るい空間。吹き抜けの高い天井まで続く、壁一面の本棚。
テレビと本棚に近いスペースは一段高くなっており、作り付けの大きなテーブルが。掘りごたつ状になっていて、足を伸ばしてリラックスして座れます。
エビス生を持ってここに座り、足を伸ばせば思わず後ろに寝っ転がりたくなること間違いなし。最高です。
掘りごたつテーブルからの景色。
正面には、ソファのあるスペース。マッサージチェアなどもあります。フロントの一角はカウンターになっており、テンピュール社の不思議なイスが置いてありました。座るだけでバランスボールに座っているような効果があるのだとか。
ロビーはこれで終わりではありません。奥の階段を上がると、中2階にはロフトスペースが。
ソファーと簡単なテーブル、月契約のロッカー、喫煙室、トイレがあります。
広々としたロフトスペースでは、ストレッチをする方もいるそう。ヨガ教室なんかも出来そうです。
ロフトのトイレはこだわりのスペースのひとつ。ゆっくり化粧直しをしたり、一人でくつろげるスペースになっています。
もうすでに、普通の家のリビングより豪華。おしゃれな友達の家に遊びに来たような感覚です。「ロフトだけでも普通に住めるね……」「うん、うちより広いかも」「このままここにベッド置いて住みたいね……」。
さて、すっかりロビーで圧倒された私達ですが、思い出して!ここは銭湯なんです!お風呂屋さんですよ!
というわけで、浴室に参りましょう。浴室もスゴイんです。
♨自然光たっぷり!植物いっぱい!「ボタニカル銭湯」
ところで、『岡田湯』のキャッチコピーは「ボタニカル銭湯」。ボタニカル??の疑問は、お風呂場に入ると分かります。
まずは女湯からご紹介しましょう。
ドアを開けるとパッと広がる浴室は、自然光が差し込む明るい空間。
目に入ってくるのはたくさんの植物たち!垂れ下がる植物の緑が目に優しいですね。よく見ると、なかなか珍しい植物もあります。
メインのお風呂は、丸い檜風呂と太陽の熱を使って温めた大きめの浴槽です。お湯は熱すぎず、ゆったり浸かれる温度。
見上げると、洗い場から階段が上に伸びています。
この階段の先が、女湯のおすすめスポット。お肌のケアを考えて作られた「美肌ラボスペース」です。美肌!大事!!
奥の部屋はミストサウナ(無料)。手前の浴槽は、炭酸泉と水風呂です。ミストサウナで汗を流し、水風呂とぬるめの炭酸泉で血行も良くなりそう。
『岡田湯』では、水はすべてお肌に優しい「軟水」を使っています。植物を眺めながら、ミストサウナと炭酸泉でお肌にたっぷり潤いを。うーん、癒されそうです。
普通のサウナは乾燥するのでちょっと苦手なのですが、ミストサウナなら蒸気でお肌にも優しいですね。
下の階には、有料(200円)のサウナもあります。
♨男湯の目玉は、晴れの日に気持ちいい露天「ガーデン風呂」!
続いては男湯を見てみましょう。
こちらもグリーンがいっぱい!
男湯の浴槽は3種類。檜風呂と、ジャグジーがあります。
そしてさらに奥へ進むと……
男湯の目玉!露天「ガーデン風呂」です!
いわゆる日本の「ザ・露天風呂」という雰囲気はなく、ウッドデッキのテラスはまさに「ガーデン」。
空はひらけていて、しっかり露天です。大きな鉢植えがいくつもあり、ゆるく音楽が流れ、太陽と植物を楽しみながらお風呂に入ることが出来ます。
夜も気持ち良さそうだなあ。(露天風呂は男湯のみです。ちょっと羨ましい!)
屋内には、女湯同様2種類のサウナ。無料のスチームサウナと、有料(200円)のサウナがあります。
♨昭和初期からの歴史ある『岡田湯』のリニューアルは2011年。
『岡田湯』の創業は昭和初期。現在のオーナーのおじいさんが、石川県から上京して開業したのが始まりです。
今回は、三代目オーナーの奥様・静さんにお話を伺いました。
14年前に先代が亡くなり、三代目としてご兄弟の弟さんが跡を継ぎました。その後長男であるお兄さんと静さんも加わり、現在は弟さんを中心に家族とパートさんで運営されています。
現在のかたちにリニューアルしたのは、2011年のこと。それまでは昔ながらの銭湯でした。
ロビーには建て替え前の『岡田湯』の写真が飾られており、昔の名残を感じることが出来ます。(ホームページにもかつての岡田湯の写真が多数掲載されています。)
ロビーや浴室は静さんのご主人がコンテを描き、山程の資料を設計士に渡し、建て替えられました。「僕の書斎にようこそ」というコンセプトで作ったのだそう。
色々な銭湯を見てきましたが、くつろげる「家っぽさ」を強く感じたのは、そういう理由だったのですね。
気になる「ボタニカル」ですが、どこにも似ていない銭湯を作ろうとするご主人のアイデア。最近ではどんどん植物の種類が増えているとか。
浴室の上に並べられた植物の世話はなかなか大変で、週末に時間をかけて水やりや手入れをされているそうです。
お風呂場でこんなに植物が眺められる銭湯はなかなかありません。
♨若い人やカップルにも銭湯に来てほしい。地域の居場所としての『岡田湯』。
現在のかたちにリニューアルされ、以前からのお客様に加えて、地域の中高生や若い方の利用も増えているそうです。
中学生が集まってテレビを見たり、ゲームをしたりといった光景も見られるとか。確かに、おうちのような雰囲気で、安心してくつろげるんだろうなあ。
脱衣所を清潔に保つことや、ナノイードライヤーを導入するなど、銭湯に慣れていない方や若い女性にも快適に利用してもらえるよう心がけているそう。
また、音響設備にもこだわりがあり、ロビーの音響システムはオーディオ専門誌にも取り上げられたことがあるほど。
男湯のガーデン風呂でも、音楽が流れるようになっています。
ロビーの広い空間で、上映会などをしても良さそうですね。
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まだまだ夢は広がる『岡田湯』。若い人やカップルなど、今まであまり銭湯と縁がなかった人にも来てほしいと話してくれました。
新しいお客さんを取り込んで、着実に地域の居場所として根付いていくのでしょう。
植物好き、生ビール好きはもちろん!西新井にお越しの際は是非、訪ねてみてはいかがでしょうか。
黒湯豊富な大田区に生まれ、銭湯の恩恵を受けてスクスク育ちました。
X大田区中心に、日常的に銭湯利用中。本業は植物やお花のアレコレ。