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東京に銭湯は600軒以上あり、あなたの街にもあります。
知らない銭湯。行ったことがない銭湯。行ってみたい銭湯。
そんな銭湯を、銭湯好きの記者達が実際に取材し紹介していきます。

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【京都 錦湯】スイングしなけりゃ意味がない!食べ歩きだけではもったいない!京の台所「錦市場」の名湯

〒604-8123 京都府京都市中京区八百屋町535

レポ遅れましたが私、ライオン丸、GWの喧騒を避けて5月9〜10日に京都へ遊びに行ってきました!

日本全国津々浦々より学生が押し寄せる街京都。私もそのうちの一人として、学生時代の4年間を京都で過ごした経験があり、私の銭湯原体験はここ京都に集約されております。
生まれは熊本、温泉の街。銭湯という”実生活に根付いたお風呂文化に触れた衝撃”。とは言いすぎかもしれませんが、ちょっとした観光気分が含まれている温泉とは異なり、生活の基盤に根付いた銭湯文化に出会うや否や「温泉とはどこ吹く風のことなりや。銭湯にこそ日本の誇りあり。」と、あっさりジョブチェンジし現在に至る銭湯人生でございます。

そして、今回訪れた銭湯は大変お世話になっていた「錦湯」。

京都錦湯20150510京町家に映える豪華絢爛たる富士のれん!

ここ、錦湯はその名の通り、食べ歩きスポットとして名高い京の台所「錦市場」と交差する境町通り沿いに立地しています。

京都錦湯20150510(急ぐあまり大好きなきゅうりの古漬けを食べ忘れたことが悔やまれます。。お寄りの際は忘れずに!)

話はそれますが、そんな学生時代を京都で過ごした私はふとしたご縁があり、日本三大祭りである祇園祭にて、3年間ほど神輿を担がせていただいていました。
祇園祭と言えば山鉾巡業を思い描く方が多いかもしれませんが、”祇園祭の醍醐味は神輿に全てが集約される”と豪語する熱心な祇園祭フリークが存在するほど、大変な迫力があり一見の価値がございます。7月17日の神幸祭、24日還幸祭と、3つの神輿会が街じゅうを練り歩くのですが、その3つの神輿会の中で私は錦市場を母体とした神輿会に所属していたので、特に錦市場へは思い入れはひとしおです。

さて、そんな錦湯さんと言えば、音楽ライブや寄席などイベントが盛りだくさんな銭湯であり、若者も数多く訪れる名物銭湯。訪問した当日は、過去記事でも紹介していた京都銭湯芸術祭(http://www.kyotosentoartfes.com/)がちょうど開催されていました。

京都錦湯20150510

夕陽を背中に浴びながら、いざ入店!

すると…

入店するや否や、突如鳴り響くスインギンなリズム。

 

そう、ここ錦湯さんのBGMはラジオでも野球中継でもなく、モダンなジャズミュージック。
杉並区の成宗湯も真空管アンプから流れ出るジャズで有名な銭湯ですが、世の中の銭湯オーナーさん達は音楽に強いこだわりを持っていらっしゃる方が多いような気がします。どこかのレーベルさん街の番頭が選ぶ!銭湯番頭’s BEST」というコンピアルバム作ってみませんか!

と、耳の心地もよければ、目にも優しい錦湯さん。脱衣所を見渡すと、なかなか見応えのある空間が広がっています。

京都錦湯20150510格子つくりの天井に、年季の入った扇風機。

京都錦湯20150510勇ましく常連さんの名前が描かれた籠・籠・籠!

そんなモダンジャズのリズムと目の前に広がる日本式家屋は、異色の組み合わせながら、「もし親日家であったモダンジャズの巨匠アートブレイキーがこの光景を目の当たりにしていたのならば、さぞかし小躍りすることであろう。」と勝手ながらの妄想で体中が脈動してきます。

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いざ、入浴してみると「ほど良い適温や!はんなりとした落ち着いた温度感や!」と我が物顔でエセ京都弁を語っていた頃の生意気な自分が蘇ってきました。

が…ふと気づくと、「むしろ、ぬるかごた気のするねえ。」と思わず故郷の熊本弁を口走るほど、温度感が物足りなくなってくるような。。。

しかしそんなことはないはず。学生時代は「錦湯の湯温ほど最適な湯はない!」と堪能しきっておりました。

…はて…。

「あっ、この感覚、あれに似てる!」

【そばの味付けから見出す地域民俗学】

1.九州の地で育つ。→味付けは濃いめの甘辛文化。醤油砂糖たっぷり上等。

2.京都で学生時代を過ごす。→お出汁を生かした上品な味付けで物足りないが1年経つと舌に馴染む。

3.社会人として上京。→下品なくらいお汁がしょっぱいと感じるが、九州の味を思い出しすぐに順応する。

という要領で江戸っ子向けの熱湯が一般的な東京の湯温に慣れきってしまい、京都の湯温を体が忘れてしまっているのかもしれません。
これ、関西と関東を経験した人によく語る”あるあるトーク”なのですが同じ経験をした方は少なからず存在するはず!
熱いと感じるもぬるいと感じるも、育った環境が違うから好き嫌いは云々かんぬんということなのでしょう。

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ちょいと脱線しましたが、浴室の構造を確認すると、こじんまりとした空間に、深風呂、浅風呂、ジェットバス、電気風呂、くすり風呂、がL字型に並んでおり、お客さん同士の交流も自然と生まれてくるような気がしてきます。銭湯の持つ街の社交場、サロンとしての役割は大きい!と改めて感じさせてくれますね。ちなみに京都の銭湯に次ぐサロンは「餃子の王将」に限ると個人的に信じきっております。

また、オーナーさんは細部の演出にもこだわりを持たれているようです。

湯が沸きだす小瓶を抱えた少年には捩り鉢巻き。湯を吐き出すライオンにはお茶目な眉毛。
と、遊び心が満載です。(写真撮影ができなかったのが残念!)

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身も心もさっぱりしたところで、湯上がりに京都銭湯芸術祭の展示物を鑑賞しました。
京都銭湯芸術祭の紹介によると「普段は捨てられたり見過ごされたりする、なんでもないカケラ。」で作られた人形たちの展示とのことです。

京都錦湯20150510

 

京都錦湯20150510

ほっこりする表情の人形たちに、湯上がりの体がさらに癒されていきます。

勝手ながら錦湯のオーナーさんに通じる遊び心を感じたので、「これは展示ですか?これはオーナーさんが手がけられたものですか?」とあれやこれや質問攻めしてしまいました。不躾ながら細かに真摯な対応をしていただいたオーナーさんは番頭の鏡!

最後に「こんなものもあるよ。」と紹介していただいたのが「ひつじがのぞいた銭湯」という小冊子。

京都錦湯20150510
錦湯を含め京都の銭湯が、可愛らしいひつじくんとともに紹介されている素敵な冊子です。
京都の銭湯文化を事細かく、楽しく知るためなら買っておいて損はないですよ!

京都錦湯20150510これは展示なのか?それともオーナーさんの粋な計らいなのか?

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少々、個人的な話に深入りしすぎてしまいましたが、京都は日本が誇る銭湯文化が濃厚に残された街。
今後も機会があれば紹介させていただこうと思います。

以上、銭湯には国境なし!という気持ちのままご紹介させていただきました。

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【今夜のせんべろ】

(残念ながら時間の都合上行けませんでした。本来ならば入店しているはず!という妄想の元、飲み屋情報を少々。)

「京都の0次回といえばここ!」と言うべき酒屋さんが錦湯の近くにあります。ここ最近流行り始めた”0次回”というキーワードよりも、ずっとずっと前から古の都、京都で0次回を提唱している老舗酒場。酒屋さんで購入してその場で飲めるという”角打ち”スタイルは、ここ京都の地では大変貴重な存在です。

若者や一見さんは、入り口付近のビールケースを積み重ねたテーブルの元、スタンディングスタイルで下積み修行。常連になるに従い徐々に奥の空間へ誘われ、ゆくゆくは畳敷きの部屋でテーブルを囲むことができる。という立身出世の暗黙ルールがあるとかないとか。。
奥まったキッチンでおかみさんが作る煮込みは隠れた絶品。美食家のバイブル「ミシュランガイド」がこの店を知る機会があれば、ノーマークだったあまり、査定に関する訂正緊急会議を今すぐにでも行うことでしょう。祇園や先斗町の京料理もいいけれど、銭湯のように地域に愛され続ける飲み屋文化が多いこともここ京都ならではの醍醐味です。

(次回はきちんと突入レポの上、実名紹介いたします!)

ライオン丸

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京都府四条烏丸駅錦湯
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