取材・文・撮影:和田拓也
みなさん、お風呂、入ってますか?
2018年も残すところわずかとなり、本格的に肌寒くなってきました。
東京銭湯では、そんな師走に向かう日本を温めるべく、「湯船にゆっくり浸かって、ラジオを聴いてもらう時間」を提案する東京のFMラジオ・J-WAVEの「RELAX IN THE BATH」とのコラボ企画をスタートします。
■J-WAVEのキャンペーン「RELAX IN THE BATH」で「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」とコラボしたPOP UP銭湯『J-WAVE湯』を期間限定オープン!【11月24日(土)~11月30日(金)】
https://tokyosento.com/pr/22197/
それを記念して、J-WAVEナビゲーターでモデルの横山エリカさんと、東京銭湯・編集長の木村衣里が「銭湯の魅力」を語り合います。
温泉ソムリエの資格を持ち、体験記・エッセイを書くほどの温泉&銭湯好きの横山さんと、日々銭湯の魅力を掘り下げ、発信する木村。
二人が考える、銭湯の魅力とは? 男性とはちょっと違う、女性ならではの視点で語ってくれました。
銭湯女子、ナゼ銭湯にハマった?
木村
横山さんは、数年前まではあまり銭湯に行かなかったそうですが、銭湯にハマったきっかけはなんだったんですか?
横山
引っ越しをきっかけに中目黒でご飯を食べることが増えて、近くにある『光明泉』に行くようになったのがきっかけです。炭酸泉がすごく気持ち良くて。
私はすぐのぼせちゃうから熱いお湯が苦手で。でも炭酸泉って37〜38度くらいのぬるめのお湯なので、ちょうどいいんですよね。スーパー銭湯はちょこちょこ行ってたんですけど、家の近くで炭酸泉に入れるのが嬉しくて、そこで目覚めました。
木村
普段はどんなタイミングで銭湯に行きますか?
横山
男友達とご飯に行った帰りに寄るパターンが多いですね。周りには銭湯好きな女の子はあまりいなくて、女の子同士だとそういうノリにもならないんです。
男性同士って、なにかと「風呂行こう! サウナ行こう!」っていうノリになるイメージがあって。そんなノリに私も混ざってついていくうちに少しずつ好きになって、いつのまにか銭湯好きになっていました。
横山
だから、銭湯が好きになったのは割と最近なんです。18歳で上京して、初めての一人暮らしが高円寺だったんです。住んでいたのに『小杉湯』にはずっと行ったことがなくって、この間ようやく行けたくらいです。
木村
本当ですか!? わたしも上京して最初に住んだ街が高円寺でした。それも『小杉湯』から徒歩5分くらいのところ(笑)。
先日も、スパイス風呂とカレーをたのしめるイベントに行ったばかりです。
横山
それ、わたしも気になってました! どんな感じでした?
木村
入浴前に体を温めるスパイスが入ったカレーを食べて、お風呂に入って交互浴、上がったら体の熱をとるスパイスをふんだんに使ったカレーを食べて……という、カレーとお風呂の交互浴!みたいなイベントで。
お風呂は熱湯がチャイ風呂に、水風呂はトムヤム風呂になっていて、かなりおもしろかったですよ(笑)。
横山・木村、それぞれの銭湯のたのしみ方
横山
銭湯の楽しみ方って、ストイックに己と向き合って集中するような人もいれば、「裸の付き合い」みたいな交流を楽しむ人もいて、本当に人それぞれだなと思うんですけど、木村さんの楽しみ方ってありますか?
木村
仕事柄、地方取材に行くことも多いので、その土地の人と交流できるのがたのしいですね。
横山
わたし、地方の銭湯には行ったことないんです。遠出をすると、どうしても温泉に行くことが多くなっちゃって。
木村
もちろん温泉も行きますよ! ただ地方の銭湯だと、地元のおばちゃんたちに「どこから来たの?」って話しかけられることが多くて。
「東京から取材で来ていて、〇〇に行くんです」って言うと、「あぁ、あそこね!」って喜んでくれたり、地元住民の視点でいろいろ教えてくれたりして、案外そういう雑談に大事な情報があったりするんです。
横山
東京の銭湯だと、話しかけられることはほとんどないかも……。
木村
顔馴染みになるとあるのかもしれないですけど、なかなかないですよね。
わたしがやたら話しかけられるのは、「よそ者」っぽい雰囲気が出ているのかもしれないです(笑)。
横山さん独自のたのしみ方はありますか?
横山
わたしは人間観察するのが好きですね。
行く先々の銭湯がどういう雰囲気でどういった方が来るか、気になって見ちゃうんですよね。土地によって来る人の特徴もそれぞれ違っていて、それがたのしい。顔も体も真っ白になるくらい大量の泡を立てるおばあちゃんとか。そういうことを銭湯に関するコラムに書いてます。
木村
「大丈夫かな?」と心配になるくらい体をゴシゴシ擦る人とか(笑)。
横山
いますいます(笑)。
そういうのを見るのが好きなので、銭湯は一人で行くのが好きですね。男性はあまり抵抗がないかもしれないんですが、わたしはそこまで親しくない人と一緒に銭湯に行くのは結構恥ずかしいというか……。
木村
わたしも銭湯は一人で行く派です! でも、初対面の人とのお風呂はまったくが抵抗ないタイプ。
観察の話でいうと、お肌がキレイな人とお風呂に行ったときはメイク落としや洗顔、基礎化粧品はなにを使ってるんだろう?と、見てしまいます。
横山
それ、すごくわかります。
中目黒の『光明泉』はおしゃれでキレイな女性が多くて、Tバック率が高い印象があります(笑)。とてもいい香りがするので見てみたら、有名なオーガニックブランドのシャンプーを使っていたり、「体型に気を使っているんだろうな」と思う女性の裸に関心させられたり。
木村
服を着ていなくても、人柄の違いがでるというのはおもしろいですよね。
男性とはちょっと違う? 女性からみた銭湯
木村
最近は『光明泉』や『文化浴泉(池尻大橋)』のようなキレイなリノベ銭湯が増えたので、女性も行きやすくなりました。ハードルが下がったことは大きいと思います。
横山さんが重視する銭湯のポイントはありますか?
横山
やっぱり、アメニティが充実してるところだと行きやすいですよね。最新モデルのドライヤーが置いてあったりするとすごく嬉しいです。
木村
ありますよね! 最新ドライヤーが通常のドライヤーよりすこし高い値段で使えるところ。男性からそういう話は聞かないので、もしかしたら女風呂だけなのかも……?
横山
さきほど「銭湯好きな女の子が、周りにあまりいない」という話をしましたが、女性からするとシャンプーのハードルはあると思います。テキトーなシャンプーを使いたくないけれど、愛用しているものを毎回持っていくのはやっぱり手間ですし。とくに髪の長い女性の場合は、手ぬぐいだけでは拭ききれないので大きめのタオルが必要になりますし、なにかと荷物が増えがち。
木村
メイク問題もありますよね。シャンプーやボディソープは備え付けのがあっても、メイク落としはなかったり。化粧をし直さないといけないと思うと、どうしてもハードルがあがってしまう人は多そうです。あとは家に帰るだけだったり、さっと帽子をかぶって帰れるとかなら良いんですけどね。
横山
だから、ざぶっとお風呂に入って、サクッと出られる男性が羨ましいです(笑)。
木村
男性の身軽さ、羨ましいですよね(笑)。
わたしは一緒に仕事をしている人に男性が多いので、仕事終わりに突然「銭湯行くか!」となることもあって。いつからか化粧品を買った時にもらえる「試供品」を、お守りのごとく常に持ち歩くようになりました。
女性が銭湯に行くならどこ? 銭湯はデートプランとしても絶対にアリ!
木村
女性が銭湯に感じるハードルについてお話しました。
個人的には、最初にどこの銭湯に行くかも大事だと思っていて。横山さんが友達に勧めたいたのしみ方や銭湯ってありますか?
横山
シェアハウスに住んでいた頃は、走って20分くらいの銭湯までみんなでランニングをして、お風呂に入ってさっぱりしたらタクシーで帰る、ということをやっていました。目的があるとたのしくなりますよね。
木村
それはアリですね! ランステーションとして使える銭湯も増えた印象です。
横山
女性があまり銭湯に行かないのって、単純に馴染みがないだけかもしれないですよね。知ってもらえたら、もっと広がっているのかなって。
木村
わたしが交互湯に目覚めたのは、交互浴の聖地とも呼ばれている『小杉湯』。『小杉湯』の水風呂は、ものすごく入りやすいんです。あそこで友人を水風呂デビューさせたこともあります。
横山
わたしもついこの間、小杉湯で水風呂に初挑戦しました! すごく入りやすかったのを覚えてます。「今日はいけるかも!」と感じて、交互浴にトライしたらものすごく気持ちよかった。
木村
銭湯に馴染みのない友達は、水質自慢の銭湯に連れて行くのがいいのかもしれないですね。あとは「温泉銭湯」。温泉好きの女性は多いですから。
横山
蒲田にある『改正湯』や、武蔵小山の『清水湯』も温泉のある銭湯ですよね。
改正湯にある黒湯の炭酸泉は、本当に気持ちいいです。清水湯は黒湯や黄金の湯、露天風呂もあって、友達を連れて行くにはとてもいいなと思います。
木村
墨田区の『御谷湯(みこくゆ)』も、水質のいい温泉銭湯ですよ。ここは水風呂も天然温泉! スカイツリーを見ながら入浴できる露天風呂や、先日取材させてもらった丸山さん・勝海さん師弟と丸山さんのお孫さんの三人で手がけた銭湯絵がある、最高の銭湯です。
木村
あとは、鶯谷の『萩の湯』もいいと思います。アメニティはバッチリ整っていて、炭酸泉がすごく広い。サウナも2種類あるし、露天風呂は天井が吹き抜けになっているので気持ちいい。最初に行く銭湯としてはかなりいいかもしれません。駅からもすごく近いですし。
横山
それと、わたしはすごく面倒くさがりなので、家だとなかなかお風呂にお湯を張ることがないんです。でも冷え性だからお湯に浸かって温まりたい。なので、サクっと行けるところにあって広い湯船に浸かれる銭湯は、すごくいいなと思っています。
木村
家でお風呂に入ろうとすると、まず湯船の掃除からはじめなきゃいけないですし、サクッと家の近くで銭湯に入るほうがラクですよね。体の温まり方も全然違いますし。
横山
わたしにとって銭湯は、日常の延長にあって一人でも行けるもの。温泉は非日常の体験なので、行くならみんなと行きたい!となるんですよね。
それでいうと、銭湯デートって絶対アリだと思うんです。
木村
わかる! わたしも「銭湯デート」推奨派です!
横山
男性と温泉に行くのってすごく特別な感じがするし、一大イベントじゃないですか。でも銭湯なら日常の中のワンシーンなので、ちょっとハードルが下がる気がして。
木村
めちゃくちゃ個人的な意見ですけど、躊躇なくスッピンをさらけ出せる相手がどうかって、結構大事じゃないですか(笑)。恋人同士になれば、いつかスッピンを見せることになるとは思うんですけど、その前に一つハードルを超えておくというのは、仲を深めるうえでも有効だと思うんです。
横山
これ、どこかで検証できたりしないですかね。
木村
「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」で、ぜひぜひ。その際には、改めてよろしくお願いしますね!
横山エリカ(よこやまえりか)
J-WAVE「FRUIT MARKET」(毎週土曜日15:00~17:00)ナビゲーター。
父親がドイツ人、母親が日本人のハーフモデル。
多くの雑誌・カタログ・TVCMなどに出演し、トリリンガル (日本語・英語・ドイツ語) として海外番組や語学番組でも活躍。現在はMC・ナレーション・日英通訳としても活躍の幅を広げている。
新しい事に挑戦する事が大好きで、未経験の開拓に意欲的。
旅行が趣味。今まで訪れた国は40ヶ国。日本の47都道府県を完全制覇。
温泉と銭湯が好きで温泉ソムリエの資格を持ちながら各地のお風呂を探索中。
その他に昔からアコースティックギター、最近始めた料理などインドアな趣味も多い。
木村衣里(きむらいり)
「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」編集長。
2018年7月に独立し、フリーランスの編集者・ライターに。同時にWebメディア「東京銭湯 – TOKYO SENTO – 」の編集長に就任。フリーランスの編集・ライターのギルド的チーム「Huuuu」にも所属している。全国を飛び回りながらいろんなお風呂にはいるのが好き。
編集者・ライター/ひとを前進させるカルチャーの根っこと端っこを探したいと思っています。好きな銭湯は下北沢の石川湯と京都のトロン温泉、桜湯尊敬する人はHi-STANDARDの横山健さん。
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