こんにちは、ご先祖を大事にしていればお化けとかに襲われない、そう信じて週に一回は必ずお墓参りに行く23歳、桶です。
お盆を終えたというのに最近は本当に暑い日が続いております。こんな日は銭湯で汗を流して、水風呂でシャキッと目覚めて、湯上りの火照った体にキンキンに冷えたCG(コーヒー牛乳)を流し込むに限りますよね。
さて、そんな皆さんに今日は朗報があります。そうです、“銭湯怪談”です。【銭湯×怪談】これはもう絶対涼しくなれるに違いありません。それでは早速参りましょう、暖簾の向こうに続くこの世の裏側へ—————
「知ってるか、薄暗い銭湯ってめっちゃ怖いんだぜ」
今回のイベントは荒川区『梅の湯』の新入社員であるホリイさんの企画によるもの。営業後にはじめてホリイさんが仕舞い掃除をしたとき、梅の湯のオーナー栗田さんがボソッとこう呟きました。
「知ってるか、薄暗い銭湯ってめっちゃ怖いんだぜ」
この些細な一言をきっかけに実現してしまったのが今回の超本気怪談イベント「銭湯怪談in梅の湯」です。
銭湯で実際に働いた経験がある方はこの恐ろしさをご存知かと思います。
自分も川口の『喜楽湯』で仕舞い掃除をすることがあるのですが、これはもう、怖いなんてレベルじゃないです。もはや戦慄迷宮です。富士急なんかわざわざ行かなくとも閉店後の銭湯で“絶凶”味わえますからね。というか、今度なんなら「戦慄迷宮in喜楽湯」誰か一緒にやりませんか??
女性初の怪談師!牛抱せん夏さん
今回語り手を務めるのは女性初の怪談師である牛抱せん夏さん。
せん夏さんはもともと荒川区に住んでいたこともあり、栗田さんとは以前にもこの梅の湯での怪談をいつかできたらなと計画していたのだとか。そんな中、企画担当のホリイさんが「怪談ライブバー スリラーナイト歌舞伎町」に企画の問い合わせをしたところ、なんとそちらにせん夏さんが出演しており、まさに世にも奇妙な巡りあわせで今回コラボが実現したのだそう。
怪談噺を得意としているせん夏さんは、2010年の「稲川淳二の怪談グランプリ」で優勝をはたした実力派の怪談師で、現在も舞台ステージからテレビまで幅広い分野でご活躍されています。
「……えっ、今回の怪談って銭湯THUGの栗田オーナーが番台でお酒片手に怖い話をする程度じゃないの?!?!」
—————そうなんです。自分も完全に騙されました。
取材前日にYouTubeでせん夏さんの過去の怪談を実際に聞いてみて、軽いノリで今回の取材を引き受けてしまったことを激しく後悔。(とりあえず一旦ここで記事を読む手を止めて、実際にせん夏さんのお話を10分間だけほんとに聞いてください。彼女はもはや“生きる戦慄迷宮”です。)
……というか、こういう内容を記事に残して果たして自分無事でいられるんですかね?編集長!
まるで墓場!恐怖の「キャンドルナイト銭湯」
さて、心の準備も整ったところでいよいよ銭湯怪談の幕開けです。
場所は梅の湯の浴室内。“キャンドルナイト”なんて言えばお洒落で甘い情景が漂いますが、実際はロマンチックな空間とは程遠い感じに蝋燭には火が灯されており、唯一の頼み綱だったLEDの照明も薄気味悪い緑色に変えられています。しかも湯船には水まで張ってあるという徹底ぶり。
桶:「せ、せん夏さん、やはり水回りとかって……出ルンですか?!」
せん夏さん:「やっぱりそれは昔からよく言われますよね。私も銭湯で話をするのは初めてなので一体どうなることやら……」
—————もう早速帰りたい!
というわけでいよいよ待ちに待った怪談のお時間。それでは、身の毛もよだつ恐怖の90分間をお楽しみください!
背筋もお風呂も凍る寒さ、手加減なしの90分!
「怪談って言ってもどうせあれでしょ?『これは私の友人から聞いた話なのですが…』みたいな修学旅行の夜とかでよくあるパターンでしょ?!」
—————そう思われた方には、今回のイベント限定で来場者にお配りした『梅の湯×バスクリン』の“清めの塩”をその手に握らせて真夜中の銭湯に一人ポツンと置き去りにさせて頂こうと思います。
そうです。今回のお話は他でもない、全てせん夏さんがこれまでに体験された実体験に基づくエピソードなのです。
取材陣として来ている自分は否が応でもせん夏さんの目の前でお話を聞かなければなりません。
良い記事を書こうと思えば思う程に誰よりも怖い思いをしなければいけないというこのジレンマ。もはやこれは完全に最近巷で話題の“ホラハラ”(Horror Harassment)です。
せん夏さん:「(会場の子供たちに向けて)怖い?安心して、一日くらい夜眠れなくたって大丈夫だから。」
—————不眠症になった暁にはせん夏さんを恨もうと思います。
今回のお話は「更衣室」「橋」「アパート」の三つ。
一つ目の「更衣室」はまだせん夏さんが怪談師になる前に勤めていた足立区のとある公共施設で巡回していた時の話。あえて内容はここに書きませんが…もう二度と自分は更衣室を使いたくありません。
二つ目の「橋」は、当時せん夏さんが自転車で通勤していた時に通っていた荒川区と足立区を繋ぐ橋での出来事。感想としては…もう二度と自分は橋を渡りたくありません。
そして三つ目の「アパート」、これはせん夏さんが役者を目指して18年前に初めて東京で一人暮らしを始めた頃の実体験。せん夏さんの情景をリアルに映し出すその圧巻の語りに、まるで自分が荒川にある築31年の木造二階建ての古いアパートに本当にいるんじゃないかという錯覚すら覚え、体中の血液が逆流するほどに恐ろしかったです。
でも、三つの話を終えた後はいつもの優しいせん夏さんに一転。お客さんとの記念写真にポーズをとって応じる姿はとても素敵でした。
先程まで怖がっていた子供たちですら、一気に笑顔に変えていきます。
これこそが怪談師「牛抱せん夏」さんの持つ何よりの魅力なのかもしれません。
まとめ・これは“令和時代の交互浴”だ
そんなこんなで終わりを迎えた「銭湯怪談in梅の湯」。
始まる前はあれほど嫌がっていた90分も気づけば本当に一瞬の出来事のよう。これがもし仮に普段の銭湯で、90分も中にいたら確実にのぼせてますからね。銭湯に来て、逆に涼しくなれるなんて水風呂以来の世紀の大発明です。
もしかしたら令和時代は「お湯」➡「せん夏さん」➡「お湯」➡「せん夏さん」➡「お湯」➡「せん夏さん」みたいな新たな交互浴が誕生するかもしれません。こういった非日常の体験ができるのも、きっと銭湯怪談ならではの大きな魅力なのでしょう。
【銭湯×怪談】ありそうでなかった今回のイベント。ぜひ第二回も参加したいな!というのが自分の素直な感想です。今度は逆に昔からある宮造りのレトロな銭湯で開催しても面白いかもしれません。
では、最後はせん夏さんのこの言葉で締めくくりたいと思います—————
「それではまたいつか、この世の裏側でお会いいたしましょう」
世界初の〝移動式銭湯〟を創りました✿̆̈
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