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銭湯、お風呂に関する執筆コラムを掲載。

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ライター文月の新米番台日記vol.02

銭湯好きが高じて、銭湯で働きはじめたライターの文月です。
番台からの景色や、お客さんとのエピソードをゆるっとお届けします。

 

10月10日 16:00 天気 くもり

 
東京都の入浴料は460円。

だから、銭湯では40円のお釣りがたくさん出る。

1000円を支払ったお客さんには、540円のお釣り、500円を支払ったお客さんには、40円のお釣り。

 

今日は、先輩スタッフから「暇なときに、10円を4枚重ねて、取り出しやすいところに貯めておくといいよ」と教えてもらった。

たしかに、40円を一枚一枚取り出すのは地味に大変な作業だった。

さっそく教えてもらったように、10円を4枚重ねて40円の山をいくつか作ってみる。

 

お客さんが来て、1000円を渡される。

お釣りは、500円玉一枚と、40円の山をそのまま一山渡すだけだ。

びっくりするくらい効率化された。これならお客さんも待たせずに済む。

新たな発見がうれしく、その日はせっせと40円の山を作った。

 

先日、他の銭湯に行ったときに、ふと番台さんの手元を見てみるとここにも40円の山があるのを発見した。

 

10月20日 19:00 天気 晴れ

 
私が働く銭湯では、番台のうしろにリモコンがあり、スタッフがチャンネルを変えて好きなテレビ番組を観て良いということになっている。

 

今日は、フロントにお客さんがいなかったので、テレビのチャンネルをプロ野球の中継からバラエティ番組に変えた。

するとどこからか「あ! テレビ変えたなー!」との声が。

身を乗り出して見てみると、番台の死角になっているところにひとりお客さんがいた。

「わ! すみません!」と言って、慌ててチャンネルを戻す。

ルールはよくわからないが、私も一緒に野球を見た。

 

10分くらいすると試合が終了。

どうやらお客さんが応援しているチームが勝ったらしく、「勝ったぞ~。ありがとな!」とご機嫌で帰っていった。

 

11月1日 17:00 天気 雨

 
銭湯で働き始めて1カ月。今日からひとりでフロント業務を任されることになった。

今までは、誰かが近くにいたのでわからないことがあればすぐに聞くことができたが、今日からはひとりで接客をしなくてはいけない。

いつもより緊張して番台に座っていた。

 

お風呂から上がってお客さんがドリンクを買いにくるが、まだ私はドリンクの値段を完璧に覚えていない。

ドリンクケースは入口の真横に置いてあり、目が悪い私は値段がハッキリ見えない。

「ええと、オレンジジュースは……」と価格表を取り出すと、お客さんが「110円!」と教えてくれた。

 

平日の銭湯は常連さんばかりで、どうやらお客さんのほうが値段を知っていることがわかった。

それなので、試しに商品を買いに来たお客さんに値段を聞いてみることに。

「すみません、ビールはいくらって書いてありますか?」

「320円よ!」

優しく答えてくれた。

私が先月から働き始めたことを伝えると、そのお客さんはもう20年以上もここの銭湯に通っているとのことだった。

 

お客さんに値段を聞く作戦は、お客さんと話すきっかけになる。

今日一日で結構値段を覚えることができたが、これからもお客さんと話すためにたまに値段を聞いてみようと思った。

 

11月17日 7:00 天気 晴れ

 
週末に京都に行ったので、『サウナの梅湯』の朝風呂に行ってきた。

梅湯の朝風呂は土日限定で、朝の6時から営業している。

私が6時になるちょっと前に着くと、すでに入口前にお客さんが待機していた。

まだ外は暗く、空には星が見えた。

 

6時になり、ランプが点灯してさっそく梅湯に入る。

入浴料は430円で、東京よりも30円安かった。

どうやら入浴料は地域によって異なるらしい。

朝から入るお風呂はとても気持ちがよく、こんな風に朝風呂に入れる銭湯が東京にもあればいいなあと思いつつも、銭湯はどこも深夜まで営業しているのでなかなか難しそうだとも思う。

梅湯は深夜2時まで営業した後に、週末は朝の6時から営業しているというから驚きだ。

長い営業時間の裏には、スタッフの方の並々ならぬ努力があるのだろう。

早朝にも関わらず、どんどんとお客さんが入ってきてお風呂場は賑やかだった。

 

着替えて、番台の方にお礼を伝えて外に出る。

さっきまで暗かった街はすっかり明るくなり、一日をはじめようとしていた。

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文月

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サウナの梅湯文月新米番台日記
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