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銭湯、お風呂に関する執筆コラムを掲載。

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日本で3名しかいないペンキ絵師にペンキ絵をならいに行くっ!

東京都国立市中1丁目10−38

銭湯歴7年、ペンキ絵を愛し、日頃東京の銭湯を巡っている美術作家の杉本です!
銭湯にハマるきっかけとしてペンキ絵の存在は僕にとっては非常に大きく、「東京銭湯 – TOKYO SENTO -」のライターになってからもペンキ絵中心に記事を書いています。

いつかは現在最高齢のペンキ絵師、丸山清人氏にお会いしたいと思っておりました。そんな時に、なんとペンキ絵師丸山氏本人の「ペンキ絵教室」(主催:銭湯もりあげた〜い)が開催されていることを聞き、ぜひ参加したいと思い、一人緊張しながら体験して参りました!

 

 

銭湯ペンキ絵師 丸山清人さんとは……

銭湯文化にお詳しい町田忍さん著『銭湯に行こう・旅情編【カラー版】』(TOTO出版)を参照しながら紐解いていきましょう。

(以下引用)

丸山清人さん(昭和10年うまれ)山梨出身。前出の背景広告社の丸山喜久男さんと清人さんのお父さんがいとこの関係にある。そのお父さんも当時は広告の営業をしていた。そんな関係で昭和35年からペンキ絵を描き続けている。丸山さんがこの仕事についたころは、自転車の荷台に道具一式を積んで仕事に回り、ハシゴなどはもっぱら行き先の銭湯のものを利用した。やがてバイクになり、自動車になり、時代と共に変化してきたという。(中略)丸山さんの絵は師匠にあたる丸山喜久男さんの手法である、刷毛をたたいて松の葉の感じなどを出す技法を受け継いでいる。その特徴はなんといっても立体感にある。タンタンとリズミカルな音が光を差し込む浴場に響き渡る。(p.121)

 
現役で活躍しているペンキ絵師は3名います。中島盛夫氏、田中みずき氏、そして丸山清人氏の3名です。みなさんペンキ絵で富士山を中心に描かれておりますが、富士山の青さ、山の稜線の角度、雲の描き方、コントラストなどそれぞれ雰囲気が異なります。丸山氏の富士山は、大きく穏やかであるけれども凛々しい印象を受ける富士山です。

 

ペンキ絵体験

さてさて、前置きはここまでにして、実際にペンキ絵体験をしたお話へ。

 

ペンキ絵体験教室の会場は国立駅徒歩3分にある「ギャラリービブリオ」で行われました。丸山さんの個展もここで何度か開催されているようです!

 

主催の「銭湯もりあげた〜い」の荒木さんのアナウンス。もう丸山さんはすでにスイッチオンの状態で今にも描き出しそうでした。

 

お手本ペンキ絵①空の描き方

 

まずは富士山の下描き。構図をどうするか、どんな富士山にしたいかと考えながら鉛筆で下描きします。丸山さんはあっというまに鉛筆で描かれていました。

 

富士山の下描きを終えると、まず初めに空を塗るため、富士山にはみださないようにマスキングテープを貼ります。

 

次に、「紺色」と「白色」を混ぜ合わせ、だんだん富士山に向かって明るくなるようにグラデーションを作ります。丸山氏は本当に簡単にやられているんですがこのグラデーションが難しい。
空が生乾きの状態で、雲を加えます。丸山氏はリズミカルに筆が踊るように雲を描いていたが、この雲もすぐに描かないとうまく馴染まず、悠長には描いていられない一発勝負!流れるような広い空をつくるのが非常に難しい。というか、いきなり難易度が高い。

 

お手本ペンキ絵②富士山の描き方

 

富士山にはみ出さないように貼っていたマスキングテープを剥がし、いよいよ富士山へ。まずは富士山の中腹を「青色」と「白色」と「赤色」をちょっぴり入れて塗り始めました。

 

そして富士山の稜線へ。躊躇なくズバズバと描かれます。「書」のような一発書きの美しさがあります。全体的に富士山を塗り進めた後に、だんだん青くなるようにグラデーションをかけてます。

 

富士山の頂上に「白色」を加え、雪化粧を施します。すっごく早くてあっという間にできてしまうからちょっとでもよそ見するとどんどん進んでしまいます。

 

お手本ペンキ絵③水面の描き方

 

水面用に施したマスキングテープを剥がし、水面を描画します。水面に浮かぶ船を避けながら描かれています。

 

青色から白色をつかいながらグラデーションをかけながら穏やかな水面を描きます。ペンキ絵の具自体が非常に乾きの早いものなので、素早い作業が求められます。

 

赤色、黄色、青色の三色を混色し、ゴツゴツした岩肌を描きます。岩を描いた後に、青色、黄色の絵の具を混色し、緑色の植物を描きます。

 

そしてサインをいれて完成。柔らかい穏やかな富士山で、丸山さんの優しいお人柄が滲でています。

 

記者杉本の挑戦!! ひゃっほーい!!

 

実際の銭湯ペンキ絵は銭湯の壁ですが、今回はA3のアクリル板に油性ペンキで富士山を描くという体験。油性ペンキで絵を描くことは初めてだったのでとても緊張しました。奇をてらわず、丸山さんの描き筋を見て学ぶことを目標として臨みました!

 

下描きし、マスキングテープで保護してからいよいよ油性ペンキに取り掛かります。実際の銭湯ではこのようなマスキングテープの使用が難しいでしょうから、簡易版として見てください!

 

想定していた以上に油性ペンキが固まるのが早いのでグラデーションが難しく、空だけでもかなり苦戦しました!

 

まず雲の流れを作ります。生乾きの状態から白を加え奥行きのある空模様を作り出します。そしてメインの富士山にとりかかります。
麓は薄めに設定し、山頂に行くに従ってだんだんと濃くなっていきます。このグラデーションが難しい。

 

そして次に取り掛かるのは頂上の稜線で、立体的になるように陰影をつけていきます。不自然にならないように険しさと広さを意識しながら……。

 

富士山の周りの山の表情を加える。案外ここのポイントが一番わかりにくい重要なポイントな気がします!

 

 

空の後景、富士山を描き、中景と全景を仕上げていきます。岩肌の表情を立体的に加えながら、緑を暗い色から順に描き込んでいきます。そして岩肌と水面の境界線に波の表情を白で加えていくと、荒々しい波が表せます!

 

最後に中景に船を加え、右下に日付とサインを加えて完成!油性ペンキの難しさと富士山の表情に苦戦しながら初めての富士山を描ききりました! 丸山さんのご指導のもと、初めてにしては上出来な作品になりました!
A版四つ切りサイズの9500円の受講料としては安い!とても気にいる作品で、自分の家のお風呂にせっかくなので飾ろうと思います!

 

最後に丸山さんと記念撮影!本当に優しいお人柄で、ていねいに教えていただきました。「銭湯もりあげた〜い」主催の丸山氏による「ペンキ絵教室」は定期的に開催されております。詳しくは「銭湯もりあげた〜い」のFacebookか「ギャラリービブリオ」のHP(https://www.gbiblio.jp/)にて!

AUTHOR

杉本 克哉

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