9月の3連休の秋分の日の昼下がり、プラプラと街を散歩して、汗をかいて、銭湯に入って……
そんな休日は最高ですよね!
この連載では最高の「みちくさコース」をご紹介します。
今回のみちくさ銭湯 荒川区熊野前『尾久ゆ~ランド』
今回ご紹介するのは都電荒川線熊野前駅徒歩10分の『尾久ゆ~ランド』さんです。
熊野前駅から降りるとすぐにあるのが「おぐぎんざ商店街」です。
少し散歩しながら下町の活気のある商店街を楽しむのも良し。
音楽が流れていて、世界の国旗が商店街ずっと連なっているのが目印。
八百屋さん、お肉屋さん、お魚屋さん、惣菜屋さん、駄菓子屋さん、おせんべい屋さん、定食屋さん、床屋さん、金物屋さん、床屋さん…たくさんのお店があってなんでも揃っちゃいますね。
おぐぎんざ商店街については、こちらに詳しく載っているのでご覧ください。
商店街の中に小学校があります。学校が終わったら、「道草」してしまうような魅力的な街です。
人がいないタイミングを見計らって撮影したので誰もいないように見えますが、平日の夕飯時はとても賑わっています。
駄菓子があったり。
おせんべいがあったり。
ゆっくり歩きながら商店街を眺めて、ときには食べ歩いたりして、トコトコ歩いていくと、いよいよ目的地の『尾久ゆ~ランド』に着きます。
荒川区の中の銭湯では、かなり大きな規模の銭湯さんです。
グリーンカテーンが雰囲気出してくれています!
戦後「改良湯」として始まり、平成18年6月に建て替え『尾久ゆ~ランド熊野前』という名称に変え、スーパー銭湯のブーム時期に建設されました。そのため休憩所が広く、長居できる空間となっています。
ここ見て! その1:音楽と健康と機械
玄関をくぐり、建物の中に入るとそこにはひろーい休憩所。尾久ゆ~ランドでは、月1回くらいのペースでライブイベントが開催されています。そのため、いたるところに音響設備が!
というのも、番頭の加古直さんは元々音楽関係のお仕事をされていた方で、音響関係の機械がびっしりあります。普段はクラシックが流れていたり、ポップスが流れていたり、それもまた楽しみだったりします。
よくわからない機械がたくさんあります……。一見、こちらも音響設備の機械と思いきや、実はそうではない。
微電流を流す、いわゆるマッサージ器具でした。銭湯の利用者が無料で利用できるようなスペースになっております。
最近ではマッサージチェアをご購入されたそうで、これも無料で利用できちゃうという太っ腹。
加古さんのおばあちゃんがこうしたマッサージ器具を集められていたらしく、おばあちゃんから譲り受けたものを置いたのが始まり。
お客さんとコミュニケーションをたくさんとれるようになり、お客さん同士のコミュニケーションができる仕掛けにもなったそうです。
ここ見て! その2:持ち込み愛
銭湯を経営していると、多くの地域のお客さんと深いコミュニケーションが生まれるようで、「これ食べて〜」「これあげるよ〜」など、お客さんの愛が持ち込まれます。
尾久ゆ〜ランドさんの広い空間には、いろんなお客さんが来ては置いていった面白いものが装飾されています。
▲3階にあがる階段の踊り場に展示されていたもの
ジオラマ、浮世絵、油絵、造花などなど、たくさんのものがあらゆる場所に展示されています。
ご家族連れのお客さんは、お子さんと一緒にお絵描きもするそうです。水槽の後ろにはプレゼントされたというお魚の絵が飾られています。たくさんのお客さんに愛されている様子がうかがえますね。こうした、銭湯の設備だけではない部分を見るのも銭湯文化を楽しむ一つのように思います!
ここ見て! その3:日替わり銭湯︎
さて、いよいよ銭湯の本丸、浴場までご案内。
尾久ゆ〜ランドさんは1階と3階にそれぞれ浴場があり、日替わりで男女が入れ変わります。僕はお客さんに銭湯をより楽しんでもらうための工夫だろうと思っていたのですが、もう少し深い理由がありました。
ご高齢の方が階段を使って3階の浴場に上がるのは困難な場合も多いため、1階を利用してもらえるように日替わりにしているということでした。そして、今日がどちらの階層の銭湯かわかるように、奇数日と偶数日で変えているんだそうです!
1階の脱衣所は畳の台座があって休憩できるスペースになっております。
茶系をベースにシックな脱衣所。
浴場は広々とした天井の高い空間。
1階と3階は空間が異なりますが設備は同じです。
ジェットバス、リラックスバス、寝風呂、電気風呂、露天風呂、サウナ、水風呂の設備。
露天風呂には休憩スペースも用意されており、長湯できます。
内湯は42度、露天風呂は41度。
誰でもゆっくり浸かれる温度ですよね。
下町の熱いお風呂も好きですが、長湯するなら良い温度!
サウナがありますので、もちろん水風呂もあります。
井戸水掛け流しの15度!
移動して3階へ向かうと、こちらの脱衣所はブルーの壁紙。木製の長椅子で休憩できます。
3階は日中だと光がたくさん入って、綺麗です。1階の浴場空間より天井は低いですが、開放感があります。
この燦々と光が入る露天風呂でゆっくり浸かるのはどうでしょうか?
夜は空を見上げながらお風呂に浸かる。たった入浴料460円で小旅行した気分になれますよ!
今後の展望
加古さんが番頭になられてから7年。
荒川区は下町風情が残り人情があり、親しみがある街。声をかけ合うお客さんを見ているうちに、あたたかい街だと感じるように思われたそうです。
ご家族で来られるお客さまや、若い層にも利用されており、幅広い年齢層に愛されるアットホームな銭湯。
今後は定期的な音楽イベントを継続し、高齢者のお客さまの見守り役としてのコミュニティを強化し、ボランティアの拠点になるような銭湯にしたいとのこと。そして、地域コミュニティの中心地にしたいとおっしゃってました。
とても親しみやすく明るい加古さん。
お話いただきましてありがとうございました〜!
おまけ。最近取材があったみたいです。
番組で放送されるみたいなのでお楽しみに〜。
下町を中心に銭湯巡り。富士山のペンキ絵が好物。銭湯お遍路挑戦中の絵描きです。
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