銭湯経営者にインタビューし、今の銭湯の魅力、そして未来の銭湯のあり方を探る企画です。
どの銭湯にも、そこだけの「味」があるもの。これを読めば、銭湯を味わうポイントが変わるかも?
銭湯経営者に聞く! 〜経営者を知れば、その銭湯がわかる?!〜
『中延温泉 松の湯』篇スタートです。
今回お伺いしたのは、東急大井町線中延駅にある『中延温泉 松の湯』。
駅から徒歩2分と、アクセス良好。
近くにはヨガスタジオやジムがあり、老若男女が行き交う穏やかな街の中にあります。
コインランドリー隣の入り口から銭湯に入ると……そこで出迎えてくださったのは、笑顔が素敵で温かいお人柄のおばあさま、伊東さん。
伊東さんに経営者(残念ながら撮影NGでしたが……お若い!)をご紹介いただきお名刺交換をすると……またまた伊東さん。そう、この『松の湯』はご家族で経営されているのだそうです。早速お話を伺いたいところ山々ですが、まずはお待ちかね、浴場内を案内して頂きました。
1度で6種類のお湯を楽しめる! 外にはお庭を眺めながら楽しめる、炭酸入り露天風呂
なんと全6種ものお湯が楽しめます。お湯は蛇口から出る水含め、全て天然温泉水なんだそう。
露天風呂(炭酸風呂)、深風呂(ボディマッサージ・スクリュージェット)、電気風呂、寝風呂、水風呂、薬湯(コラーゲン湯など日替わり)
写真は鮮やかなお湯を楽しめる、「梅湯」です。
サウナもあります。(250円)ところどころにお客さま目線な心配り。
皆で座って会話を楽しめる場づくり。
転倒を防ぐ子供用バスマットの準備。
その他、ハンドミラーや入り口付近の荷物置きの設置など、よく見ると、いたるところに配慮が行き届いている印象。
一体この湯を営む銭湯経営者はどんな方?! お話を伺いました。
銭湯経営者は、「職人」でもある。
– まず初めに、伊東さんについて教えてください。
「銭湯経営は、平成8年から、今年で22年になります。昭和23年に祖父が初めた家業を継いで今がありますが、当初は継承するかしないか、とても悩みました。」
– 20代から経営者ですか……今もお若いのに大ベテランですね……!
企業に勤めずそのまま銭湯屋に“就職”と、一大決心だったかと思いますが、経営者になってからはどんな取り組みをされたのですか?
「まずはやってみようと思い、色々なお風呂を増やしました。その中でもオススメは露天風呂。うちの庭を活かせないかなと思ったことが作った背景にあります。サウナもオススメですよ。」
庭を活用!露天風呂からの眺め
– 確かに、見上げれば空、脱衣所からすでに良い眺め。お湯に入ると旅館に来たような気分になります……!お得感いっぱいのお湯ですが、経営において何か大変なことはありますか?
「色々ありますが、簡単には休みが取れないことですかね。
今は私と母、姉の3人でやりくりしてますが、午前中はお風呂の掃除、お昼から“仕込み”をします。お湯だめをしたり、午後からの開店のための準備をするんです。AM1時まで営業しているのですが、1日あっという間です。店番は交代制でやりますが、最近は近隣の銭湯がなくなったりしていて。お風呂を求めるお客様もいるので簡単には休めないですね。」
– たったの3人で、ですか……! よその銭湯が減っていることが経営にも影響してくるのですね……!
おひとり様も、ウェルカム
– 毎日多くの方が通われているかと思いますが、お客様はどんな人が多いのですか?
「日によって異なりますが、土日は家族連れや学生同士が多いですね。最近は若い方で1人で来る人も多いですよ。」
– 私もその1人です!二子玉川へ行った帰りにふらっと寄らせて頂いた時があったのですが、どこか落ち着く雰囲気があって。近所でもないのに「また来てね」と言って見送って頂いたこともあり、私にとって「帰りたくなる」銭湯です。
これからの「銭湯」のあり方
– そんな銭湯ですが、かつて銭湯は体の汚れを落とすための場所だったんですよね?
私自身各地の銭湯へ行ってみて、今銭湯そのものの役割が変わりつつある気がするんです。例えば最近、私の周りで「なんでもシェアでいいじゃん」という人が多く、お風呂もそのシェアの対象の一つになる気がします。だから若者が今後増えていく場所になると思っているのですが、伊東さんはこれからこの銭湯をどのようにしていきたいですか?
「今は日々の疲れを癒すリラックス環境をご提供していますが、これからはもっと地域に根ざした場所にしていきたいですね。地域の人になくてはならない場所、と思って頂きたいですね。もちろん、近所にお住まいでない方も大歓迎ですよ。」
最近はAEDを導入しました。
時代によって役割が変わりつつある銭湯。毎日のように街の銭湯はなくなっているといいますが、決して銭湯そのものがなくなることはないと思います。
これからの未来の銭湯はどうなるのか。そのヒント・役割を見つけるべく、これからも銭湯経営者の声を聞いていきたいと思います……!
<余談まで>
松の湯に、もっと若い女性に来てもらうためには……?
・ストレスの溜まった働く女性に嬉しいサービスがあると良い?
・アメニティの充実をはかる?(すっぴん帰りのためのマスクの販売など)
週末銭湯行脚をするOL(冷え性)。好きな銭湯は「懐かしさ」を感じるところ。好きなお湯は炭酸泉。
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