指宿は砂蒸しだけじゃない
鹿児島の指宿、といえば海岸の砂に埋もれて汗をかく“砂蒸し風呂”のイメージが強いですが、砂蒸しが体験できる施設は限定されており、実は共同浴場の方がたくさんあったりします。
どこもそそる浴場ばかりですが、そんな中でもお勧めしたいのがJR九州 指宿枕崎線「指宿駅」から徒歩15分のところにある『村之湯温泉』。
創業は明治で、こだわりの源泉かけ流し。なんと西郷隆盛もこの温泉に浸かったことがあるんだとか。
戦時中には海軍航空隊員が出撃前に身を清めに訪れたという歴史ある温泉でもあります。
扉を開ければタイムスリップ
お宅の庭にある倉庫のような建物。そこが浴室です。
公式の営業時間は朝8時~となっていますが、早いときは朝6時くらいから開いていて、入浴料300円を受付のトレイに入れれば利用することができます。
入口はよくあるアルミサッシの扉。しかし、そこを開けて中に入れば……タイムスリップしたかのようなレトロな空間。外観とのギャップがたまりません。
入って扉の上には西郷隆盛の肖像画。
脱衣所は木の棚とカゴのみなので貴重品は持ってこない方がよさそう。
内装はコンクリの壁に、木材の柱と梁。
タイルそんなふうに並べちゃう!?という斬新な床に、エメラルドカット型の浴槽が2つ。
水面がきらきら光ってほんものの宝石のように美しい。
入る前からわくわくします。
身体ぽかぽか、お肌つるつる、飲んでおいしい
浴槽は入口から見て縦に2つ並んでいますが、手前があつめ、奥が適温になっています。
あつめといっても激熱ではなく、あつ湯好きとしては手前が気持ちよいくらいの温度。
メインの源泉が湯船の下から湧いていて、温度を調整したいときは浴槽角にある木栓を抜くと、違う源泉で温度の違う湯が流れ出てくる仕組み。
泉質は“アルカリ性明ばん泉”とありますが、塩もあるし、金属っぽさも感じるし、メタケイ酸の含有量も多いのでぬるぬるもするという、てんこ盛り。
お肌つるつる、身体もさめにくい贅沢な温泉です。
そして以前『霧島温泉』でもご紹介しましたが、鹿児島は飲泉できるところが多く、こちらも飲める温泉。
しかも、何ともおいしいのです。
すこし金属っぽい味が奥にするものの、上質な出汁をいただいているかのよう。
これで出汁割りとかしてみたい!と思ってしまいました。
とってもおいしいですが、塩分が高いので飲みすぎには注意です。
最後に……
この共同浴場には、カランがありません。地元の方たちは浴槽のお湯で身体や髪を洗います。
普段東京で銭湯を利用していると、浴槽から桶で髪を流すのには少し抵抗がありますよね。
実際私もカランの無いところでは髪は洗いません。
それでも、是非入ってみてほしい共同浴場です。この感動は風呂好きならきっとわかっていただけるはず。
ちなみに、どうしてもカランを使いたいときは、隣に『東郷温泉』という共同浴場があります。
こちらも素敵な温泉で、カランやシャワーがありますので、はしご湯もおすすめです。
湯と酒と猫がすき。
INSTAGRAM出かける時は銭湯セットを持ち歩き、すきあらば湯に浸かります。