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そんな銭湯を、銭湯好きの記者達が実際に取材し紹介していきます。

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新しいだけじゃない!リニューアルされた『はすぬま温泉』に流れる銭湯のココロとは。【大田区 / 蓮沼駅】

〒144-0051 東京都大田区西蒲田6-16-11

日々是銭湯。こんにちは、美月です。

突然ですが、自分のお気に入り銭湯が「リニューアルする」と聞いたとき、みなさんはどう思いますか?

キレイになるのは嬉しいけど、お気に入りポイントが変わってしまわないかな?
味のある風情がなくなってしまわないかな?

など、少しだけ心配になるのが人情というもの。

私にとって、慣れ親しんだ『はすぬま温泉』のリニューアルは、楽しみでもあり、少し心配でもある出来事でした。

 

リニューアル前の取材記事はこちら。
地元で愛される美肌の湯。リニューアル工事開始直前!『はすぬま温泉』【大田区 / 蓮沼駅】

 

リニューアルから3カ月。
結論から言えば、その心配は杞憂に終わり、ビバ・新生『はすぬま温泉』!と足しげく通うことに。

今回は、新生『はすぬま温泉』に込めたこだわりをたっぷりとお聞きしてきました。

日々通っている私の、「変わってよかったポイント」「変わらなくて嬉しいポイント」もご紹介していきます!

 


雄大な滝のタイルはそのまま!これが新生『はすぬま温泉』だ!


はすぬま温泉といえば、滝のタイル絵!

背面と脱衣場側のタイル絵はそのまま残してリニューアルされました。

タイル絵の滝が温泉となって流れ込むように設計されています。

この、滝つぼ石の存在感!! 浴槽に入って見上げると、タイルの滝との一体感がすごい。

特別に彫ってもらったという彫刻の魚が泳ぎます。石の上面にも美しい蓮の花の彫刻が施されています。ぜひ立ち上がって覗いてみましょう。

脱衣場もピカピカ!木のぬくもりがありますね。

ロビーの配置は変わらず。木のベンチに座布団で、こちらも和の雰囲気です。

工事期間は3カ月。なかなかの大工事です。

すごくキレイになりましたが、間取りなどは大きく変わっていません。通いなれた身としては、安心してくつろげます。

 

新しく、店内をよりわかりやすく紹介した動画も用意されています。まだ行ってない方は、まずは動画をチェック!(ドローン撮影すごい!)

 


リニューアルに秘めたこだわり。伝えたいのは「日本の文化」「銭湯の文化」。


リニューアルとは、見た目をきれいにすることだけではありません。変えたこと、変えなかったこと、ひとつひとつに想いがあります。

一見しただけでは気づかない、細かいこだわりの数々。店主の近藤さんにお話を伺ってきました。

 

外観と内装のテーマは『大正ロマン』。

 

まず目を引くのはステンドグラスと、その格子モチーフです。大正ロマンをテーマにし、道後温泉のイメージも参考にしているそう。

格子モチーフは、格天井にも。銭湯の伝統である格天井の中にも、新しさを感じます。

古き良き銭湯の象徴「格天井」も、格子モチーフにデザインされて新しい雰囲気。

昼間は高い位置のステンドグラスから光が差し込み、脱衣場は開放感いっぱい!夜もいいけれど、ぜひ明るい時間にも訪れてみてください。

リニューアル系銭湯の脱衣場はコンパクトになりがちですが、『はすぬま温泉』は銭湯らしく天井を高く残したままの設計。脱衣場好きとしては、嬉しい限りです。

シャンデリアや照明のパーツも木製にこだわっています。落ち着いた統一感が美しい。

 

 日常から、非日常の『温泉』へ。

 

浴室の中央に配置された浴槽は、シンプルに3つ。奥から「やや熱めの温泉」「温泉炭酸泉」「源泉水風呂」

そう、全浴槽が『温泉』になったのです!

はすぬま温泉は、ごく一般的な広さの「町の銭湯」。間取りは変えられない、限られたスペースです。温泉をたっぷり楽しんでもらえるように、電気風呂やジェット風呂をなくす決断をしました。

男湯と女湯の間には、季節を感じる花鳥風月画。丸い鏡と丸い絵が湯船に浮かぶ様子は幻想的。

「銭湯は日常のものでありつつ、その中でも非日常を感じてほしい」というご主人。近所の人にも、海外から来るお客様にも、まるで旅に来たようにゆっくり温泉を楽しんでもらおうという想いが込められています。

 

「木」へのこだわり。

 

建物全体を通して感じるのは、ふんだんに使われた木の気持ちよさ。脱衣場からロビーまでの床は板張りです。古い銭湯のツヤ光りする床板も良いですが、新しい木の香りがなんとも心地よい。

床板に使った木材は、ならの木。自然な木の良さが伝わるよう、あえて節のある場所を選んで使っているそうです。いい感じの床だなと思っていましたが、細かいこだわりを聞いて納得です。

木の節はひとつとして同じ模様はありません。これから使い込まれていくのが楽しみ。

サウナに使った木材はひのき。こちらも木の節を活かしています。天然木の良さが全身で感じられそう!木目を楽しみながら、サウナもはかどりますね。

男湯と女湯の脱衣場の間の太い木材は、昔のまま残しています。新しい木と歴史ある木が共存する脱衣場。全部取り壊して新しく作るのではなく、良いものは残して大切に使う心が素敵です。

はすぬま温泉の歴史を見てきた、太い柱。

「良いものは残す」精神で、印象的だったのは脱衣場の籐かごです。古い銭湯ではおなじみのアイテムですが、こちらはなんと新品を新たに作ってもらったのだそう。作れる職人さんも少なくなっていますので、新品の籐かごはとても貴重。

混み合ってきたときにあると便利な脱衣かご。籐の編み目が美しい、職人の手づくり。

 

「銭湯」という日本文化を繋ぐ。

 

湯上がりに皆がくつろぐロビーの床には、鯉が泳ぐ池があります。……えっ!?

そう、なんとこちらは、デジタルサイネージの池!

眺めていると、時おり鯉や金魚が泳いでいきます。まるでロビーの下に池が広がっていて、のぞき窓で覗いているようです。子供たちにも大人気。

 

こんな仕掛けを作ったのには、理由があります。

かつての銭湯には、庭があって池がありました。しかし古いままの形を残す銭湯は減っていき、その記憶も薄れてきています。「銭湯には池があって鯉が泳いでいる」という記憶を、次の世代の子どもたちにも伝えたい。

デジタルサイネージの池には、古き良き銭湯の文化を伝えたいという想いが詰まっていました。

 

ちなみに、数十分に一度ですが、レアキャラが泳いでいることも……!(しかも季節によって登場キャラは変わるそう)運良く見られた子供たちや常連さんは、ロビーでとっても盛り上がるそうです。

ここではネタバレはしませんので、ぜひご自分の目で確かめに行ってみてくださいね。

 


新生『はすぬま温泉』! 変わって良くなったところ、変わらず良いところ。


はすぬま温泉は、私のホーム銭湯のひとつ。そんな私が感じた、リニューアルで「変わって良くなったところ」「変わらなくてよかったところ」をご紹介します!

 

変わってよくなった① たっぷり楽しめる温泉! 温泉炭酸泉!

 

なんといっても全ての浴槽が温泉!のインパクトは大きいです。新しく導入された温泉炭酸泉はややぬるめの温度で、本当に気持ちいい。熱め→ぬるめ→熱め→水風呂……の交互浴が、すべて温泉であるという贅沢。源泉の水風呂で肌もすべすべに。

 

変わってよくなった② 照明・シャワー・新しい設備最高!

 

いやあ、やっぱり新しい設備はいいですよね。特に良かったのはシャワー!水圧強めで使い心地最高です。また、浴室内の照明がすごく良い。暖かい色調の照明で、顔色もキレイに見えます。天井に映る光の揺らぎも美しい。

 

変わってよくなった③ 脱衣場雰囲気よし!ドライヤーも変わった!

 

新しい木の床が気持ちいい脱衣場、居心地抜群です。ドライヤーも最新式に!そしてドライヤー料金も値下げされてます(10円)。地味に嬉しい!

広めの浴槽は全て温泉。浴室中央にあるので両側から入れる。混み合ってきてもストレスなし。

 

変わらなくてよかった① 半身浴にぴったり。浅い段のある大浴槽!

 

旧『はすぬま温泉』の大浴槽には広い浅段のスペースがあり、一番の好きポイントはここでした。これがあるおかげで、足を伸ばして半身浴ができるんですよね。なくなったら嫌だなーと思っていましたが、新しくなっても健在!混んできてもゆったり半身浴が楽しめます。

 

変わらなくてよかった② 雰囲気アップ? 滝のタイル絵!

 

『はすぬま温泉』のシンボル・滝のタイル絵はそのまま健在。見慣れた絵のはずなのに、照明や内装が変わったらぐっと雰囲気よく見えるようになった気も。新たな気持ちで眺めるのもまた良いです。

 

変わらなくてよかった③ 水風呂のライオン蛇口!

 

『はすぬま温泉』の源泉水風呂といえば、ライオン蛇口。なくなっちゃうの寂しいなーと思っていましたが、ちゃんといました!! 少し小さいサイズになりましたが、常連さんたちからも「ライオンいるねー」「よかったねー」との声が。

常連さんたちの間ではひそかに「はすぬマーライオン」と呼ばれているライオン蛇口。

 

潔く「捨てる」勇気。

 

限られたスペースの銭湯では、全部を盛り込むことはできません。

脱衣場にあったマッサージチェアはなくなりました。昔ながらのおむつ交換台付きロッカーもなくし、おむつ交換台は壁付けの折り畳みタイプに。浴槽では、電気風呂やバイブラ・ジェットなどをなくしています。

強みを打ち出すためには、既存のものを捨てる勇気も必要なんですね。

 

サウナは有料に。

 

その他の大きな変化としては、サウナが有料(300円)になったこと。反応は賛否両論だそうですが、マナーが良くなり、ゆっくり入れるようになったという声も多いそうです。

 

リニューアル前に比べると、なんだか長湯することが増えました。浴室の照明が暗めになったこと・温泉にゆっくり浸かれるようになったことで、ついついのんびりしてしまいます。

ジェットやバイブラがなくなり、浴室には温泉の流れる音だけ。水の音を聞きながら炭酸泉に浸かっていると、時の流れを忘れます。「ゆっくり過ごしてほしい」というご主人の思惑どおりですね。

 


変化していく設備(ハード)と、変わらない銭湯の心(ソフト)。


見た目はすっかり新しくピカピカになった『はすぬま温泉』ですが、切り盛りするご家族やスタッフの方々のあたたかい心遣いは変わりません。

いつの間にか会話が生まれるロビー。一人ひとりのお客さんへの目配り。

日々通っている高齢者の方々の様子を見守り、気づいたことがあれば行政などへ橋渡しをする「認知症見守りサポート」の活動も行っています。毎日来る場所だからこそ、気づけることがある、と。

 

設備は新しくなっても、根底に流れるのは銭湯のココロ。

 

取材時はリニューアルから1ヵ月半の頃でしたが、外国の人や遠方からのお客様も増えつつあるとのこと。

地域の方のための銭湯でありながら、遠くから来る方へおもてなしの温泉でもありたい。バランスをとりながら一歩一歩進化していく様子が、新しい銭湯のかたちを作っていくようで、とても心強く感じました。

 


『はすぬま温泉』撮影会のお知らせ!


最後にお知らせです!

そんなこだわりがたっぷり詰まった新生『はすぬま温泉』で、内覧&撮影会が開催されます。

 

日時:2018/4/22(日)13時~15時まで

●入退場自由
●予約不要
●無料
●写真アップOK!

 

公式Twitterの注意事項をよくお読みになって、ぜひ足を運んでみてください。

『はすぬま温泉』Twitterアカウント @hasunumaonsen

 

最後におまけ。東京に大雪が降った日の写真です。どこの温泉郷かと目を疑う景色。徒歩圏内にこんな温泉があるなんて、控えめに言って最高でしょ……!

新しくなった『はすぬま温泉』。お近くにお越しの際はぜひ、たっぷり温泉を楽しんでください!

 

(訪問日:2018年1月)

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美月

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