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銭湯、お風呂に関する執筆コラムを掲載。

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銭湯で働くってどんな感じ?銭湯で働くメンバーで番台座談会を開催しました!

銭湯で働いているメンバー3人で座談会を開催!「番台あるある」で盛り上がりました!

銭湯好きがワイワイ集まって運営している「東京銭湯 – TOKYO SENTO -」。その中には、銭湯好きが高じて、銭湯でバイトをはじめた人も。実は私、美月もその一人です。
銭湯の「中の人」になってみると、ガラリと景色が変わるもの。お客さんとして来ていたときには気づかなかったことも、見えてくるようになりました。
今回はそんな「銭湯の中の人」による、座談会(という名の飲み会)をしてきました!

メンバーはこちらの3人です。

荒川区『梅の湯』のオーナー、栗田くん。
高円寺の人気銭湯『小杉湯』で働く、塩谷さん。銭湯図解を描くイラストレーターとしても活躍中です。
そして私、東京銭湯のライターでもあり、『蒲田温泉』バイトの美月です。

銭湯で働いている人はどんなところを見ているのか?どんな苦労があるのか?「番台あるある」満載の座談会、はじまります!

 


番台(フロント)基本情報。


― 番台といっても、今はフロントタイプが主流です。それぞれのフロントスタイルを教えてください。

塩谷(小)
背面に脱衣所があるタイプです。

美月(蒲)
蒲田温泉も背面脱衣所。小窓があるタイプです。タオルや石鹸の購入や両替など、後ろから結構呼ばれます。

栗田(梅)
梅の湯は独立のフロントですね。

 

昔ながらの「番台」のなごりを残すのは「背面脱衣所タイプ」。新しい銭湯は独立フロントが多いかも。

 

塩谷(小)
前からも後ろからも、お客さんが重なると大変。でも冷静にさばけるようになってきました。

栗田(梅)
独立型のフロントだと、お客さんからはフロントに声をかけにくいかもしれないよね。逆にタオル一枚巻いたお客さんがロビーに出てきちゃうこともある。

美月(蒲)
それはロビーにいる他のお客さんはびっくりしますね(笑)

栗田(梅)
梅の湯の場合、レイアウトで大丈夫になっている部分もあるのかな。ロビーのお客さんは脱衣所の入口に背を向けて座る感じだから。

梅の湯のロビー。フロントからはロビーが一望できる。脱衣所からロビーに出るときは服を着ましょう。

 


一日のシフトはどんな感じ?


― それぞれ3銭湯のシフトを、ざっくり図にしてみました。だいたい3時間ずつで人が交代する感じですね。

 

細切れに交代するシフトが多い。3銭湯とも最後の時間はオーナーが勤める。

 

栗田(梅)
3時間くらいが限度だよね。

塩谷(小)
小杉湯も、こまめに交代する感じです。

美月(蒲)
私はこのまえ10:00~17:00というのを初めてやりましたが、長かったよ…

 

― 忙しい時はどんな時ですか?

 

塩谷(小)
お客さんが立て込んで、前からも後ろからも声がかかったりすると大変。小杉湯は券売機じゃないから、暗算が超早くなりました(笑

美月(蒲)
お客さんが立て込んでいるときに電話がかかってきたりすると、対応が大変。

「今日やってますか?」とか営業時間の問い合わせくらいならいいけど、道案内とか、忘れ物の問い合わせとかだと、ちょっと待って~ってなる。

栗田(梅)
目の間のお客さんも対応しつつ、電話にも対応して。臨機応変ですね。

美月(蒲)
忘れ物ってどうしてます?

栗田(梅)
すぐ確認できるものはするけど、「何日前に忘れたアレありますか?」みたいなのは、取ってあるので確認しに来てください、と言うことにしてる。もちろんすべて保管はしてあるけど、電話ではわからないものも多いからねえ。

蒲田温泉のフロント。券売機は外にあるものの、現金でのやりとりも多い。

 

―逆にヒマなときは何かしてますか?

塩谷(小)
私は絵を描いてます。ペン入れまで終わったものを持ってフロントに行き、色塗りを完成させたり。色塗りだと頭を使わないし、お客さんが見てコミュニケーションが生まれたりするのが楽しい。

美月(蒲)
集中して何かをするのは難しいよね。

栗田(梅)
俺は結構大丈夫。パソコンで調べものしたり、次の企画考えたり、ポップ作ったりとかしてます。

美月(蒲)
私は本当にヒマな時はスクワットしたり体操したり(笑)あとは商品のTシャツを袋詰めしたり、タオルをたたんだり。あまり頭を使うことはしないかも。

小杉湯のフロントでイラスト制作中の塩谷さん。「銭湯図解」シリーズもここから生まれる。

 


男湯、女湯…脱衣所の中は見えるの?


― フロントにいるときは、脱衣所に行ったりしますか?

塩谷(小)
私は男湯脱衣所には入らないです。若い女子なので、オーナーの配慮で。ほかのスタッフは入りますが、男性は女湯脱衣所には入らないです。

栗田(梅)
基本的に女湯は女性のスタッフに行ってもらいます。ただ緊急性の高いことについては女湯の脱衣所にも入ります。躊躇なく!

美月(蒲)
掃除のためにどちらの脱衣所にも入ります。最初はちょっと緊張したけど、もう慣れました(笑)

塩谷(小)
小窓から声をかけられると、中が見えちゃうことはありますね。ちょっと気まずい…(笑)

脱衣所とフロントをつなぐ小窓(蒲田温泉)。ここから脱衣所内のお客さんとやりとりする。

 


番台での接客いろいろ。


― お客さんとのやりとり、挨拶の仕方などはどんな感じですか?

栗田(梅)
入店時は「いらっしゃいませ」かな。

美月(蒲)
「いらっしゃいませ」はあんまり言わないなー。「こんにちは」「こんばんは」とか。

塩谷(小)
私も「いらっしゃいませ」はあんまり言わないです。銭湯と「いらっしゃいませ」は親和性が薄いような…お店っぽくないからかな?

栗田(梅)
うちは入口入ってからフロントに来るまで距離があるから、入店したらすぐ「いらっしゃいませ」だね。どうでもいいけど、「いらっしゃいませ」は人数分言うのが俺ルール(笑)

 

― お客さんが帰るときはどうですか?

美月(蒲)
帰りは「ありがとうございました」か、夜なら「おやすみなさい」が多いかなあ。

塩谷(小)
常連さんっぽい方には「おやすみなさい」が多いかも。

美月(蒲)
お客さんからの挨拶も色々だよね。「お世話様でした」「ありがとうございました」とかが多いかな?「いいお湯でしたー」は結構嬉しくなります。

塩谷(小)
「いいお湯でした」、嬉しいですねえ。

栗田(梅)
「ごちそうさまでしたー」っていう人いない?

塩谷(小)
えー!いないです(笑)

美月(蒲)
うちもいない!初めて聞きました(笑)

栗田(梅)
えー、あるあるだと思ったのに!!梅の湯はいるよー。(お風呂)いただきます、からの、ごちそうさまでした、なのかなーと思ってたけど。

塩谷(小)
「ごちそうさまでした」は聞いたことないなあ…レアですね。ちょっと聞いてみたいな。

 

接客は大事な仕事。常連さんとはおしゃべりも。

 

―お金の受け渡し以外に、やりとりはありますか?

塩谷(小)
常連さんとは普通におしゃべりしたりしますよね。

美月(蒲)
話したいんだろうなー、という人はいますよね。他の仕事に支障がない程度におしゃべりしたりはします。

栗田(梅)
おしゃべりはするけど他のお客さんが来たらそちらを優先するし、みんな平等に接客するように気をつけてる。

美月(蒲)
お釣り銭のやりとりで、手を触ろうとしてくるおじいちゃんとかたまにいるね。そういう場所じゃないでしょ、と思ったり。

塩谷(小)
私もちょっとこわい、ナンパ?みたいなこともありました。絵を描いているのをずーっと見ている人とか。

栗田(梅)
自分は男なので、そういうのはないなあ。お惣菜をもってきてくれるお客さんとか、食べ物はよくもらう(笑)。母親みたいな感じで心配されているのかも。

 


番台の人はこんなところを見ている!


塩谷(小)
カップルやご夫婦のお客さんは、関係性が見えて面白いですよね。

栗田(梅)
時間を決めるかどうか。お財布はどっちがもっているか。いかつい旦那さんなのに、ジュース代の小銭をもらっていたりするとほっこりする(笑)

美月(蒲)
先に出た方がロビーで相手を待っている光景はいいですよね。いいなーと思う。

栗田(梅)
結構前に出てたのに、「全然待ってないよ、俺もいま出たとこ」とか言ったりね。

塩谷(小)
うわー。いい!!

― 番台の人は見ていますねえ(笑)

フロントの栗田氏(梅の湯)。ロビーのお客さんに目を配る。

 

美月(蒲)
貸しタオルを、きちんと畳んで返してくれるお客さんは嬉しくないですか?

栗田(梅)
わかる!!

塩谷(小)
嬉しい!!惚れますね!

栗田(梅)
もちろん畳まないで返してくれていいんだけど、そのちょっとした心遣いが嬉しいよね。

美月(蒲)
女性はだいたい畳んで返してくれるけど、男性は畳まない人が多いね。

塩谷(小)
畳んだら好感度アップなのに!

美月(蒲)
あと、使用済みの歯ブラシとか石鹸をタオルに包んで返してくる人がいるけど、それはゴミ箱に捨ててください……と思います。

栗田(梅)
あるあるですね…

当日同席した東京銭湯の男性陣からは「俺も畳んだことないわー」という声が。畳まない人が多数派?

 

栗田(梅)
あとお客さんの心遣いを感じるのは、洗面所まわりや脱衣所。キレイに使ってくれると嬉しくなります。

塩谷(小)
ドライヤーが終わったとき、落ちている髪の毛をはらってくれたりね。

美月(蒲)
床が濡れていたら置いてあるモップでさっと拭いてくれたり。

栗田(梅)
梅の湯はお客さんが掃除してくれたりして、ありがたいですよ。

 


銭湯でのトラブル・困ったこと。


1.体調不良で倒れる人への対応

 

美月(蒲)
体調悪くなって倒れる人、けっこうたくさんいるんです。救急車呼ぶこともあります。

栗田(梅)
救急車、呼びますね。

塩谷(小)
脱衣所で倒れるのは、意外と若い人も多くないですか?サウナ長く入ってのぼせたり。無理しないでー。

美月(蒲)
お風呂で沈みそうになっているおじいちゃんを他のお客さんと一緒に引き上げたことがあるよ。

塩谷(小)
こわいー!周りの人が気付いてくれて良かったですねえ。

栗田(梅)
そう、人が多い銭湯だからいいけど、周りに人がいないと本当にそのまま死亡事故になってしまうこともあるから。

美月(蒲)
お酒を飲んでから入る人もね。まあ一概にダメとは言わないけど…。自分の体調をよく見て、気をつけてほしいですね。

2.ケンカ・騒ぐ人への注意

 

栗田(梅)
ケンカはねー、いったん両方に外に出てもらう。他のお客さんのリラックスを邪魔した時点で、どっちも悪いから。
この前中学生が悪ふざけをしてたので本気で怒ったよ。

塩谷(小)
地域のいいお兄ちゃんって感じですねえ。

美月(蒲)
女子だし、バイトだとそのへんは難しいところもあるなあ。男湯で言い合いのちょっとしたケンカがあった時、なにも言えなかったです。

座談会は高円寺・小杉湯近くの素敵な居酒屋にて。あるあるネタで話が尽きません。

 

3.入店をお断りする

 

栗田(梅)
お客さんによっては、出入り禁止にすることもあります。

美月(蒲)
周りに迷惑になりそうだったら入店をお断りすることもあります。ですが、その判断が難しい。

―入れ墨のお客さんは?

美月(蒲)
入れ墨はうちは全然オッケーです。

塩谷(小)
うちも。

栗田(梅)
入れ墨だからダメってことじゃなく、迷惑をかけるような人はダメ、って店主がしっかり基準を持ってやることが大事だと思ってる。
入れ墨入れてる人だろうが、子供だろうが、ダメなものはダメ、と言うのが大事。

 


番台に座ってみたい、銭湯で働きたい人へ。


美月(蒲)
「番台に座ってる」っていうと、ちょっと卑猥な想像をする人がいますが、そういうのはないですよね。

塩谷(小)
ないない!!もう、バカだなあ(笑)

栗田(梅)
ない!!そんなことより気をつけなきゃけないことがいっぱいあるし。

塩谷(小)
のんびり座ってるだけに見えるかもしれませんが、けっこう臨機応変が求められる仕事です。

栗田(梅)
マニュアルっぽいものはないので、人を見て自分で考えて対応することがすごく多いよね。

美月(蒲)
話しかけなくても目は配っているし、誰が誰と来ているとか、常連さんの顔や癖は覚えていたりとか、ベテランの番台スタッフは本当によく見ていますよ。

栗田(梅)
ホテルのコンシェルジュみたいなものかも。

美月(蒲)
スナックのママっぽさもあるよね。

栗田(梅)
丁寧だけではダメで、ときには強く言ったり、フランクに接したりすることも含めて接客がすごく大事。

塩谷(小)
接客の良さはお風呂の楽しさにつながるから、大切な仕事ですね。

 

ーーーーーーーーーー

 

銭湯で働いているメンバー3人の「そうそう、こんなことあるよねー」のつぶやきから企画された座談会。

銭湯でのトラブルなどディープな話題にもおよび、大変有意義な時間となりました。

銭湯で働く。普通の方にはなかなか機会はないかもしれませんが、いろんなお客さんに出会えて、通っていた頃とはまた違う視点で銭湯を楽しめるようになった気がします。

銭湯を愛してやまない皆さん、思い切って銭湯で働いてみるのも楽しいかもしれませんよ…!

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美月

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小杉湯梅の湯蒲田温泉
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