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カクバリズム所属「片想い」片岡シンに聞く、音楽と銭湯経営論

クリエイターの銭湯お湯かけ論 Vol.2 -片岡シン(片想い)-

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これまで幾度も東京銭湯で取材をしてきた墨田区にある御谷湯。その三代目を務める片岡シンは、星野源YOUR SONG IS GOOD、ceroといったアーティストを輩出しているインディーズレーベル・カクバリズム所属「片想い」のボーカルとしても知られている。
片想いは、2015年9月5日にも「加賀温泉郷フェス2015」に出演するなど、ライブハウス以外でのパフォーマンスも勢力的だ。そんな音楽活動と銭湯経営というハイブリットな側面を持ち合わせている片岡シンに話を聞いた。
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Interview & Edit:ゆざめレーベルヤマモト(東京銭湯)

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ーー「片想い」として音楽活動をしながら「御谷湯」に携わるまでの経緯を教えて頂けますか?

片想い 片岡シン(以下、片岡):御谷湯は妻の実家で、僕自身浴場関係の仕事に就いてからはまだ日が浅く、3年目なので、それこそまだ新鮮にやっています。御谷湯で働く前から既に音楽活動はしていて、そもそも「風呂や酒のようでありたい」と思いながら片想いをやっていたんですよ。風呂の仕事に携われたらいいなぁなんて、ちょっとは思っていたんですよね。そうしたら御谷湯のリニューアルもやるから一緒に考えていこうという話になったんです。そのタイミングで僕も別の仕事を辞めて、本格的に銭湯経営の準備に入ったという感じです。

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ーー御谷湯に携わる前は銭湯に対して何か意識されていたことはありましたか?

片岡:もちろん銭湯に行く事自体はあったんだけれど、その時はただの客ですからね。特に意識はしていませんでした。「もしかしたら銭湯経営とか出来るのか?」とか思ったりするようになったのは結婚してからです。5年前くらいですかね。地方でライブすることが結構あるので、絶対行くようにしてるんですよね。メンバーもみんな好きで。サックスのえんちゃん(遠藤里美)は「温泉マイスター」と自分で言っているくらい。秘湯とかも行ってて、温泉に関しては僕なんかより断然詳しいです。

ーー他にカクバリズムの方で銭湯好きの方はいらっしゃいますか?

片岡:今度2ndアルバムをカクバリズムからリリースするVIDEOTAPEMUSICは、もともと片想いと共作でミニアルバムを作ったことがあって、それは草津温泉で録りました。みんな風呂好きではあります。必ず地方に行くと、温泉調べて行くんですね。

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結婚して正式に(銭湯経営を)やろうってなってからは、勉強の面で入るようにしていましたね。もちろん東京の銭湯も行きましたし、地方で人気のある銭湯の要素を文化の違いも含めて勉強しました。神戸の温泉って、結構たくさんの人が入っていて。リニューアル前のうちの銭湯もそれなりに人気はあったんですけど、圧倒的に違う人数だったので、何でなんだろうと考えたりしました。多分越えられない壁もあると思いますし、文化の違いもあるし、そういうのも考えたりしながら入りましたね。

ーーなるほど。印象に残っている東京の銭湯はありますか?

片岡:印象に残っているのは2つ。1つ目は、武蔵小山の清水湯ですね。黄金の湯はすごいなぁと。とんこつラーメンみたいな。2つ目は、よく入ったという意味で、江戸川区の乙女湯。広くて温泉が出ていているというのもあるけど、なんかとても快適で、なんとなくいつも行っちゃう感じ。

ーー片想いとって音楽は「自由の象徴」のように見て取れるんですが、銭湯や温泉はどのような位置づけなのでしょうか?

片岡:人生のよりどころみたいな感じですね。お風呂って個人的な体験であり、友人と一緒に……というものでもない。自分のためのエンターテイメントという感じです。もちろん皆で入るのは楽しいですけど。

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ーー片想いはライブハウス以外でのパフォーマンスが印象的ですが。

片岡:そういうバンドとも捉えられるというか、ライブハウスでというより変な所でやってますからね、小学校とか。銭湯と楽器の相性は良くないですけど(笑)。湿気もあるし、反響しまくるから、そこら辺は難しい。イベントとしてはすごく好きだし、色々やっていきたいという思いはありますけど、超マッチしているかというと、それは別だなと(笑)。

ーー銭湯と音楽の融合や、その可能性についてどうお考えでしょうか。

片岡:先日のライブで、来てくれた人にパンフレットを配って、後日それを持ってきてくれた人は入浴料を無料にしよう、ということで30枚くらい持って行ったんですよ。皆、くれ、くれ、言ってたくせに、誰一人来ない(笑)。そういう意味では、音楽を銭湯に有効活用できていないとは思います。ですが、音楽も銭湯も同じ距離でやりたいか……というと自分でもわかりません。まだバンドのことと一緒くたに考えられていない状態です。多少の照れもありますし。

ーー銭湯は生活に寄り添っているものですからね。

片岡:そうなんですよ。銭湯は「地域のもの」「生活している人のもの」っていう考えがまず第一にあるんです。現状、若い人達にとって銭湯は「非日常」でしかないというところは否めないんですよね。これからの課題なんですが、土日入りに来るだけの銭湯では、経営は出来ないと思います。今、銭湯に来ている7割位の高齢の人は、若い頃から「お風呂は銭湯で入るもの」として来ているんですよ。でもそういった人達が世代交代した後どうするんだろうっていうところが問題です。その波はあと10年もすれば来てしまうんですが、その時に焦らないように何か策は考えなきゃいけない。例えば定年を迎えた人達の日常にどう入っていけるかっていうのは銭湯業界全体の課題でしょうね。だから、若い人達を取り込むのはさらに難しい。音楽と銭湯って楽しい試みは思いつくんですけど、ひとつイベントをやったとして、いくら「非日常」の人達を取り込んでもなかなか常連に繋がらないんです。もちろんそういう人達を取り込む努力はしていますし、こういった東京銭湯のようなメディアで「行ってみようかな」というきっかけを作ることも大切だと思います。

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