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東京に銭湯は600軒以上あり、あなたの街にもあります。
知らない銭湯。行ったことがない銭湯。行ってみたい銭湯。
そんな銭湯を、銭湯好きの記者達が実際に取材し紹介していきます。

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女湯の方が大きい? 雪と下町銭湯とたぬき『たぬき湯』【墨田区 / 鐘ケ淵駅】

〒131-0031 東京都墨田区墨田2丁目21-8


昨年9月にリニューアルした『たぬき湯』さんに取材に伺いました。


2018年1月東京にたくさん雪が降ったあの日。
雪がしんしんと積もる中、昨年9月リニューアル『たぬき湯』さんに取材に伺いました。
雪と下町の銭湯と狸。今回はそんな取材です。

東武伊勢崎線「鐘ケ淵」駅下車、徒歩8分にある『たぬき湯』
知らない街を歩いていて、ふと銭湯があるとなんだか嬉しい。
『たぬき湯』の優しい看板が迎えてくれました。

商店街の隙間にそびえ立つ『たぬき湯』さんに到着!
渋い門構えで、ちょっと色褪せた暖簾の風合いがいいですね。

玄関を入って、このタイプの傘立てがある銭湯さんはとても雰囲気があって大好きです。
営業時間前に取材したので忘れ物の傘一本がひっそりと迎えてくれました。

 


女性に優しい『たぬき湯』さん


『たぬき湯』は1924(大正13)年に創設され、94年の歴史のある立派な銭湯です。
戦時中も建物はきれいに残り、今もその形を維持し守り続けています。

今回取材させて頂いたのは、『たぬき湯』の店主4代目土本幸枝さんと娘さんの智恵さん
とても親切にお話して頂きました。
営業時間前のお忙しいときにも関わらず、丁寧に答えて頂いて嬉しかったなぁ。

さて、『たぬき湯』の最大の特徴は……女湯の方が大きいということ!

とても珍しい銭湯さんなのです!
下の写真をご覧下さい。

番台に上がって撮らせて頂いた写真です。
こちらは男湯の脱衣所です。

対して、こちらは女湯の脱衣所はこちら。

わかりますか?

1.5倍くらい大きい!!

なんてこった!!
女性に優しい銭湯さんなのです!

これには理由があって、「昔、この街は績会社の『カネボウ』(現 カネボウ化粧品)を中心に発展しました。その社宅があり、男性は会社で入って帰るため、その奥様方は子供と一緒に銭湯を利用してくれていたんです。それで女湯を大きくしていたため、その名残りが今も残っています」とのこと。

銭湯を紐解くと、その街の歴史が見えてきます。ちなみに今はお客さんの男女比は同じくらいだそうです。

中心が少しズレているのわかりませんか?

女湯は広いのです!
男湯(右)は壁2枚、時計を挟んで、女湯(左)は壁4枚!

 


リニューアルした綺麗なお風呂はやっぱりいいですね♪


浴場に入って見るとリニューアルした綺麗な蛇口と鏡が!
手すりもあってご年配の方にも優しい設計になっています。
湯船の周りにはおしゃれなタイルがあります。
歴史のある銭湯の雰囲気を崩さないような和柄のタイルが心地よい!

リニューアル前は蛇口が2列だったのが1列になり広々な空間に生まれ変わりました。
女湯は電気湯とエステ湯をなくして、ジェット湯と座風呂を残し、そして新たにぬるま湯を追加されました。

立ちシャワーのコーナーも新しくなり木目調の素敵な雰囲気になっています。

脱衣所の洗面台はシックな陶器の器が用いられ、ホテルのような高級感もあり、おもわず蛇口をひねりたくなります。

リニューアルオープンの際に、ペンキ絵も一新したそうです。
男湯のほうに丸山清人氏作の立派な富士山が描かれていました。
丸山さんの富士山は青くてスッキリした印象です。佇まいが素敵です。
長年『たぬき湯』さんは、丸山さんに描いてもらっているそうです。
銭湯さんとペンキ絵師との繋がりって長年構築された関係があり、相談されながら絵柄を決めるそうです。

今回は狭い男湯に富士山が!

女湯は広々とした瀬戸内海の絵です。広い女湯の空間に合いますね。

『たぬき湯』さんは丸山さんの描く富士山が本当にお好きらしく、縁側を取り払った憩いの場にも展示されています。

この額にはいった作品はプリントではなくオリジナル作品でした。
多くの銭湯さんでプリントされている富士山はよく見ますが、本物というのはありがたい気持ちになりますね。

 


『たぬき湯』の由来


この『たぬき湯』という由来は諸説あるようです。
先代の恰幅のあるおかみさんの立ち姿が似ていたとうお話があったりするようです。
また、『たぬき湯』と接している商店街の道の名が「たぬき通り」と呼ばれていたそうです。
これは道沿いにある瀬戸物屋さんの軒先にたぬきの置物があったからという話しがあるとか、ないとか。とにかく諸説あるそうです。

そして、男湯の縁側には「たぬき」さんが2匹いらっしゃいます。
縁側なので屋外に設置されているため、雪が積もり始め、すこし寒そうで険しい表情の「たぬき」さん。

かつては小さなほうの「たぬき」さんは女湯の縁側に居たようなのですが、改築工事のなかで女湯の縁側はなくなり、憩いの場になったおかげで、晴れて「たぬき」さんは夫婦で一緒になれたそうです。
それぞれバラバラだったお二人……。やっと夫婦になったわけなんですねぇ。
なんだかこの話聞いてほっこりしました。

 


『たぬき湯』の今後の展望


「立地的に大きな都営住宅があるので、家庭風呂がある御家族でも利用してもらいたい」
という願いがあるようです。

「大きなお風呂で親子でゆったりつかって家族の時間をつくれるような銭湯にしていきたい」
ともお話されていました。
お風呂場には子供連れのお客様用に、カワイイ椅子と風呂桶がありました。

今小さなお子さんが、大きくなった時にも銭湯を利用してもらえるといいよな〜〜。
次の世代に受け渡したい文化です。

取材後、開業すぐの一番風呂を頂いて帰りました。
寒い雪の日にも芯からあったまる素敵な銭湯さんでした。またお邪魔します!

AUTHOR

杉本 克哉

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たぬき湯リニューアル墨田区東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅
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