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銭湯、お風呂に関する執筆コラムを掲載。

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ひとつの銭湯がなくなるということ。『大田黒湯温泉 第二日の出湯』閉湯によせて。

2017年10月末に閉湯した、大田区『第二日の出湯』の思い出。復活イベントにも行ってきました!

 

こんにちは。美月です。

寒い寒い季節、冷えきった身体をあたためるのに、ますます銭湯通いが捗るシーズンですね。

 

若者を中心に銭湯やサウナが盛り上がりを見せている昨今。

東京銭湯 - TOKYO SENTO -でも、若者が中心になって銭湯経営をやってみたり、情報発信をしたりと活発に活動をしています。

そんな愛すべき銭湯ですが、やはり全体で見れば衰退期。いまや週に1軒のペースで減少しているとも言われています。

 

2017年10月末。私の大好きな銭湯がひとつ、その歴史を終えました。

廃業を知ってから、有志により企画された閉湯イベントまで、約1ヵ月。

「その銭湯によく行ってた近所の人」として、参加できる範囲で足を運びました。今回はその記録をお届けします。

 


「大田黒湯温泉 第二日の出湯」の閉湯。


最初の情報は、Twitterからでした。

『大田区の第二日の出湯、10月末で閉店って張り紙が出てた。残念』

という、一般の銭湯ファンによる書き込み。10月に入って少し経った頃でした。

 

10月末ってもうすぐじゃん!急すぎる!

左手にコインランドリー。地元の人が通う、ザ・町の銭湯。

 

第二日の出湯は近所のお気に入り銭湯のひとつです。ご主人がフロントにいるときはお喋りしたりもする、まさにホーム銭湯。

えー、聞いてないよ!信じたくない!

自分の目で確かめるまでは…...と、その時はリツイートもできませんでした。

 

そして数日後、実際に行ってみて目にした張り紙がこれ。

 

…...うわあ、本当だったんだ。

この時点で10月13日。

 

あわててTwitterに投稿したり、近所の銭湯好き仲間にメールをしました。とにかく時間がない。知らずに閉店しちゃったら、もう二度とあのお風呂には入れないのに。

閉店までの時間は限られていて、近所の私も数回行くのがやっとでした。

 


大田黒湯温泉・第二日の出湯。


大田区・蒲田周辺には、個性的な銭湯が豊富です。

第二日の出湯の魅力は、昔ながらの銭湯らしい造りと、庭園に面した黒湯露天風呂。

中でも私は広々とした脱衣所がお気に入りで、これだけはどんな新しいデザイナーズ銭湯も勝てないと思っています。

なつかしい、昔ながらの格天井。

 

つやつやに磨かれた木の床。広いベンチ。縁側へ出るガラス戸の上には扇風機。見上げれば高い格天井。

庭には小さな滝と池があり、鯉が泳いでいます。脱衣所から縁側へ出るとすぐ足元が池です。扇風機にあたって着替えながら、この庭を眺めるのが大好きでした。

夏の定番、ぶたの蚊取り線香。

 

庭と露天風呂は繋がっていて、ここで滝の音を聞きながら露天風呂に入るのは至福のとき。

ちょっと旅行気分が味わえる銭湯として、東京銭湯 - TOKYO SENTO -で記事も書かせていただきました。

【大田区 / 蓮沼駅】お庭が見える露天風呂でプチ温泉旅行気分!「第二日の出湯」

脱衣所から眺めるお庭の風景。

 

露天風呂があるのは左側の湯のみ。月の前半と後半で男湯と女湯が入れ替わります。そう、男女ともに、露天風呂に入れるのは月の半分だけなんです。

10月上旬に閉店の知らせを聞き、慌ててみんなに声かけをしたのは、これが理由のひとつでした。

 

*****

 

撮影やイベントも多い銭湯でした。

ペンキ絵の富士山にアウディが描かれた『アウディ湯』

映画「シン・ゴジラ」公開に合わせてペンキにゴジラが登場した『ゴジラ湯』などは、記憶に新しいのではないでしょうか。

ペンキ絵を使った大胆なプロモーションは、いつもあちこちで話題に。

 

ミュージシャンのMVや、ポスター撮影にもちょくちょく使われています。

東京スカパラダイスオーケストラの「Girl On Saxophone X」のMVは、『第二日の出湯』の浴室が余すことなく使われています。

普通に通っている身としては、こんなにカッコよく使われて…...と感動したものです。(いまもYoutubeで見られるので、ぜひ見てみてください →リンク

 

そんなイベントや撮影とは裏腹に、通っているお客さんやご主人は淡々としたもの。

「スカパラ撮影に来たんですか!?」「あー、そうみたいだねえ」
「あれ、ペンキ絵ゴジラになったんだね」「なんかね、やりたいっていうからさあ」

という感じで、まったく力が入っている様子もない。

それがなんとも、日常的に利用する私たちにとっては心地よいものでした。

 


閉湯後に行われた復活イベントに行ってきた。


そんなこんなで、あっという間に10月31日。第二日の出湯は、62年間の営業を終えました。

しかしこのままでは終われない!と思った方が多かったのか、復活イベントが立ち上げられました。(特設サイト

ご近所、改正湯さんの前に張り出されていたポスター。

 

復活記念イベントは11月18日。もう一度お湯を沸かしていただき、一日だけ入浴ができるというもの。

その日に向け、1週間前から様々なイベントが行われるようでした。

・11月11日~12日 銭湯に泊まろう!
・ペンキ絵を感謝のメッセージで埋め尽くそう!
・銭湯バザーで第二日の出湯グッズをゲットしよう!
・記念イベント限定の銭湯ハンコをコレクトしよう!

 

「銭湯に泊まろう!」と「銭湯バザー」は参加できなかったのですが、銭湯ファンが集まり大いに盛り上がったようです。

 

ペンキ絵にメッセージを記入できる期間は4日間。

東京銭湯 - TOKYO SENTO -のメンバーnatsukoさんと一緒に、私もペンキ絵にメッセージを書きに行ってきました。

男湯女湯ともに、足場がかけられています。

 

ヘルメットを借りて、足場に上ります。けっこう高くて怖い!

メッシュ状の足場。あんまり下は見たくない。

 

イベント期間の初めの方だったので、まだメッセージは少なめ。せっかくなので目立つところに!富士山の横に書かせてもらいました。

足場の上の私。ちょっと腰が引けています(高いの苦手)。

 

見下ろす景色はこんな感じ。ペンキ絵師の人はこの高さで絵を描いているんだなあ。

店主の田村さんとイベント主宰の方とnatsukoさん。写真だとあまり伝わらないけど、けっこう高い。

 

この日は人も少なく、店主の田村さんともゆっくりお話をすることができました。東京銭湯 - TOKYO SENTO -では、風呂なし物件ツアーのときにもお世話になりましたね。長い間、本当にお疲れさまでした。

風呂がなくても、銭湯があるさ!物件&銭湯見学ツアー【西蒲田編】

フロント上のステンドグラスがお気に入り。

 

そして迎えた11月18日。

夜の用事の前に、さっとお風呂に入りに行きました。(この日の露天風呂は女湯でした!やったー!)

早い時間だったからか、それほど混雑もなく、常連らしい近所の人たちが淡々と入浴中です。

 

いつもと違ったのは、ペンキ絵にいっぱいのメッセージが書かれていたこと。

子供たちが描いたゴジラの絵。色とりどりの「ありがとう」の文字。

 

私たちがメッセージを書きに行った日の、何倍ものメッセージがペンキ絵にあふれていました。たった数日だったのに、こんなにたくさんの人が書きに来たんだなあ、と胸がいっぱいに。

 

そしていつもどおり、露天風呂と内風呂を2往復。

しっとり小雨が降るシチュエーションでこの露天風呂に入るのが大好きだったのだけど、この日はまさにそんなお天気で。

イベント当日は、小雨が降る寒い日でした。営業時間はいつもと同じ。

 

寂しいなあ、惜しいなあ。でもしょうがないよね。

 

ここは蒲田の隠れ家温泉だよ!と友達や母を連れてきたことなども思い出しつつ、最後の露天風呂を堪能しました。

 

この日にしか押せない、としぞーさんの「限定記念ハンコ」。

 

夕方のロビーは別れを惜しむ人でいっぱいで、ご挨拶もそこそこに帰路についたのでした。

 


ひとつの銭湯がなくなること。私たちができること。


今でも「あの脱衣所やお庭はもうないのか…...」という気持ちがふと湧いてきたりします。

ひとつの銭湯がなくなるたびに、通っていた人たちはこんな思いをしているのでしょう。

黒湯が沁み込んだ浴槽。長い歴史を感じます。

 

『銭湯は地域のコミュニティ。なくならないほうがいい。どうやって残していくか考えよう』

銭湯ファンである私たちは、当たり前のようにそう思っています。

 

でも、銭湯は公共性が高い施設とはいえ、個人の家業が中心です。自分でどう幕を引くかは店主が決めること。

第二日の出湯の御主人とお話したとき、「誰かに任せてまで続けたいとは思わない」という意志を感じました。お客である私たちは、辞めるという店主を引き留めることはできません。

イベント当日のフロントにあった、店主田村さんと第二日の出湯の水彩画。誰かファンの方が描いたのかな。

 

じゃあ、私たちはどうすればいいんだろう。

 

私たちができることは、ただひとつ。好きな銭湯になるべく足を運ぶこと。

 

だから、今年もたくさん銭湯に行きましょう。お気に入りの銭湯は、友達や家族にも教えてあげましょう。この銭湯のココがいい!といっぱい発信しましょう。

地味だけど、それが未来に銭湯を残すことにつながるはず。

 

今はもうない銭湯は大切な思い出に。2018年も新たな銭湯との出会いに期待して。

みなさま、今宵もよいお湯を!

 

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美月

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